Ⅵ‐5
カズさんとべったりで、お互いに学校では、のけ者にされてる者同士が共鳴していて、ケラケラ笑いながら過ごしてるうちに2学期も終わって、冬休みに入ってクリスマスも終わって年が明けた。
俺はカズさんが柏で古着の年始バーゲンセールやってるから行こうって誘われてて、二人で駅に向かって歩いてた。
歩いてる途中、駅に向かうには一度トンネルを抜けるんだけど、そのトンネルで鏑木先輩とか見覚えのある先輩や後輩達が10人ぐらいたまってて、まあいいやと思って「こんちゃー」って適当に挨拶して普通に通り過ぎようとしたんだけど、それじゃ通してくれなくて、俺達のこと待ってたみたい。あっちゅう間に囲まれて全員から殴る蹴るされてフルボッコにされた。
いろんなとこからパンチとか蹴りが飛んでくるって、やっぱすごいことだよねぇ。誰か一人殴ってる間にフルスイングのパンチとキック何発も食らって10秒もたずに膝ついちゃったもん。
もう暴力の渦。その中でめちゃくちゃになって動けなくなって、もう無理ってなってからも全然終わんない。転がされて仰向けになっても空が半分も見えなくて、人の靴の裏側ばっかりが見えた。
もうぐっしゃぐしゃでさ。その時、カズさんは大丈夫かなって気になって見たんだけど、カズさんも転がされて踏みつけられてた。
喧嘩弱いのに、全然謝んないで「もっとこいよ」とか「全然効かねえ」とか言ってヘラヘラ笑ってて、カズさんは俺に巻き込まれただけなのにそんなんされてるの見て「勘弁してください!」って気付いたら叫んでた。「カズさんは関係ないです。俺が調子に乗ってました」って言ったんだけど、その後もずっと俺もカズさんも頭を踏んづけられたり、ひっぱたかれてた。
本当の瞬間っていうのは映画みたいにBGMは流れない。殴られて蹴られて骨がきしむ音だけが聞こえた。
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