Ⅳ‐5
尾笠原達の騒動が解決して1週間後、俺が夜にアイス買おうって家から歩いてコンビニに向かってる途中、公園で原付に乗った二人組が、いきなり俺の方に突っ込んできて、危うくひかれそうになる。
「危ねえだろ!」って怒鳴ったんだけど、そしたらその原付がUターンしてきて、原付の後ろに乗ってたやつが持ってる木刀ブンブン振り回してきたわけ。
ほんで俺もあったまきて「この野郎!」っつって蹴っ飛ばして何やかんやしてゴチャゴチャなって、結局その二人組が逃げた。追いかけようにもこっち徒歩で向こう原付なわけで、諦めて「ちっくしょう、あのクソガキャ」って思ってたんだけど、しばらくしたら、近くですげえ数のバイクの音が聞こえてきて、嫌な予感がしたからダッシュで茂みに隠れたら、その10秒後くらいに原付が6台くらいこっちに集まってきて超ビビった。
さっきの二人組もいて、俺のこと捜してるみたいだったから、隠れながら家に帰ったんだけど、全員見たこと無いやつらだったし、柏ナンバーばっかりだったから、この辺のやつらじゃないのは確かだった。人のことをひこうとしたり木刀振り回したり、まったく物騒なやつらだなと思ってたんだけど、次の日にヨッチから電話がかかってきて「秀ちゃん、何かした?」って聞かれて嫌な予感しかしなかった。
「えっ、何もしてないよ。何で?」
「いや、何もしてないならいいんだけどさ」
「っていうか聞いてよ、昨日の夜、俺さ、変な二人組に襲われたんだけど」
「やっぱり何かしたんじゃないの?」
「えっ、何が?」
「
「原田? 知らんけど」
「いるの、そういうやつが我孫子に。そんで、そいつがあちこちで喧嘩売りまくってるんだって」
「えっ、じゃあ、昨日のやつらもかな? 迷惑ぅー、めっちゃ迷惑ぅー」
「分かんないけど、そうなんじゃない? っていうか、うちにまで出没し始めたのもそうなんだけど、前に秀ちゃんが話してた柏の楢崎が、そいつらに刺されて入院してるって聞いたんだけど」
「マジで? 超おっかねえじゃん! 何あいつら、そんなやばいやつらなの?」
「そうだよ、そんなやばいやつらがうちの地元にまで来始めたって聞いたから、秀ちゃん絡みなのかなと思って」
「知らんよ! 俺だって昨日、いきなり襲われたんだし」
「調子に乗って金髪にしたりするからだよ」
「金髪が不良っていつの時代だよ」
「目立つカッコしてるから。どうせ、その二人組のこともずっと見てたりしてたんでしょ?」
「そりゃ、マフラーいじったクソうるせえ原付乗った二人組がこっち来たら見るでしょ」
「向こうも金髪の粋がったカッコしたやつがずっと見てきたら気になるでしょ」
「はっ? お前、何向こうの味方してんだよ」
「味方じゃなくて、そう思っただけ。それよりもさ、これからはあんまり出歩かない方がいいかもよ。噂だけど、我孫子の
「えっ、暴走族ってまだいるの?」
「戯神もずいぶん昔に消滅してたらしいんだけど1年前か2年前に復活したらしいよ」
「へえー、入りたいかも」
「マジで言ってんの?」
「マジ。コール切ったり、集会に出てみたくない?」
「出てみたくない」
「そっか。面白そうじゃん、マンガでしか見たことないし、やってみたいんだけど」
「じゃあ、仲間に入れてくださいって言ってみたら?」
「うーん、向こうから入ってくれって頼まれるのはいいけど、入れてって言うのはちょっと恥ずかしいかも」
「あっそう」
ヨッチに電話を切られた。俺の心配をするのがアホらしくなったのかも。それにしても暴走族か。いよいよ俺も本格的にグレる時期になったのかもしれない。
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