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「うーん……」
「どっ、どうだ?」
一通りシリウスに魔法を使ってもらったものの……。
――やっぱり、ところどころ変なのよね。
さっきの『水魔法』にしてもそうである。通常「水魔法を使えば前に飛ぶところ」をシリウスは「上に飛ばして水の柱」の様にした。
――むしろ「普通に放てば良いんだけど」多分そうしているのは『本人の意志』なのでしょうね。
現にシリウスは「普通とは違う」にも関わらず平然としている。
――まぁ、魔法全てが攻撃とは言わないけれど。
多分、シリウスは意識的に魔法をそらしている。そして、そうしているが故に出力があまり出ないのだ。
――正直、出力はどれも弱すぎて話にならないのだけれど。
「まぁ、相性としては『火』が良さそうね。次が『風』かしら」
「!」
私の言葉に対し、シリウスは驚いた様な表情で反応する。
――でもなぁ。
ただ、コレはあくまで私の見立てであって、正直上手くいくとかどうかは続けてみないと分からない。
しかも、実は『火』の魔法は他の四大魔法とは大きく違い「自然の力を利用出来ない」という大きな欠点がある。
「なっ、なぁ。確か『火』って四大魔法の中でも扱いが難しいってされてんだろ?」
「ええ。本来、魔法は自然の力を借りて発生させるから」
「それでいくと『火』は……」
「まぁ『火』に関しては自分の元々も持っている魔素を使わないといけないのよね」
そして『火』の素質がある者は「元々生まれ持った魔素も多い」とされており、それ故に「魔法も上達しやすい」とされている。
――だからまぁ。シリウスの「信じられない」という気持ちも分からないワケじゃないわね。
ちなみに『火』が得意とくれば、基本的に次は『風』か『土』が来る。そして、それが『水』となれば『土』となり『土』であれば『風』となっているが、どうしても『火』と『水』は相容れない。
――で、一番多いとされているのが『水』なのよね。
「でもそうか。俺は『火』なのか」
「あくまで私の見立てでは……ね。それより、何か問題でもあるの?」
「いや……。あー、コレは『闇魔法』にも関係するんだが……なんて言えば……そうだ! ちょっとついて来てくれ!」
シリウスは少し悩み「良い事を思いついた!」と言わんばかりに突然私の腕を掴んで歩き始めた……のだけど。
――ちょっと手!
そう言いたいのに先をどんどん進んでいくシリウスに声をかけるタイミングを私は完全に失ってしまった。
「……」
前世での私は三姉妹の次女だった。
姉とは年が離れていて、妹とは年が近く、それ故かあまり甘やかされずに育った様に思う。
しかも、それに加えて私は保育園はともかく……小・中・高校の学生の子は全て女子校で……つまり何が言いたいかと言うと……。
実はこうして『異性と手をつなぐ』なんて事は前世も含めて父親意外にした事がなく、耐性は全くなかった――。
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