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――とは言え……。
「まぁ、さっきアンディさんとも話をして何となく察しはついていたけれど、あなた。いえ、あなたの家って『四大魔法』も使えるけど、本当は『その他』の魔法が本命じゃない?」
「!」
しかし、コレはあくまで私の「予想」や「推測」でしかない。
――まぁ、私が通っていた魔法学校でもこういう傾向の人はいたし。
顕著なところで言うと、やはり主人公である。
――ゲームでは『光魔法』が使えるというだけで「特別に」学校に入学したから……。
そこを「面白くない」と思った貴族令嬢たちに目をつけられたのだ。そして、そんな彼女に興味を持ったのがリオン殿下である。
――で、婚約者がいるにも関わらずリオン殿下だけじゃなく、周りの友人とも交流をし、仲を深めていった……と。
ゲームであれば、私はただの「プレイヤー」という立場だった。
しかし、実際に「婚約者」という立場に立ってしまうと、自分の婚約者が他の女性に色目を使われて鼻の下を伸ばしているのを見るのは……あまり良い気分にはならない。
――むしろ嫌悪感を抱くくらいね。あれは……色々言いたい気分になるのも分かるわ。
さすがに「イジメ」はしないが、正直サーシャの心情は理解出来た。
ただ悔いるとすれば、私の前世の記憶を取り戻したのが「学校生活真っ直中で、既に殿下の婚約者になっていた」という事。この一点が問題だった。
――まぁ、結局のところ。婚約破棄されちゃったけれど。
「――なんで、あんたはそう思うんだ」
「え? まぁ、さっきの練習風景を見ていて何となく……ね。あれだけ基礎が出来ているのに、応用の魔法がからっきしって言うのはかえっておかしいと思ったのよ」
「……」
「で、思い至ったのが『その他』の魔法の存在。でも、成績を見る限り詳細は書かれていなかったし、授業で使ったような形跡もない。使っていれば、個別はともかくあの基礎を見た限り実戦魔法の成績は下から数えるより早い……なんて事はないはずだから」
私がそう自分の見解を言うと、シリウスは呆けた様な表情で私を見ている。
――あー、コレはあれかしら「ただの金持ちの暇つぶしだと思っていたけど、意外にちゃんと見ている」って思われたのかしら。
でも、あの魔法の練習を見た上で改めて成績表を見ると……やはり『違和感』は拭えなかった。
――確かに、座学の応用も苦手なところを見ると「不器用」だとは思うけれど。
それでも「四大魔法全て」というのはやはりおかしい。だからこその可能性である。
――それに、アンディさんを見て何となく察しはついていたし。
一応、前世の記憶を取り戻して以降。私は実戦魔法の試験では負けなしだ。それはもちろん『努力』もあるが、一番は「相手が使える魔法属性を探知出来る様になった」という事が大きい。
――で、アンディさんは四大魔法の『水』を強く感じたけれど……。
それともう一つの『魔法』も探知しており、その『魔法』をシリウスからは強く感じていた。
――いえ、むしろコレは「それしか感じない」という方が正しいわね。
そう彼を改めて見て感じた。
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