第二関門 商店街
また知らないおじさんについて改札口を出て行くいすなちゃん。そっちの改札で合ってるのかなあ?
「あ! あったあ!」
改札を出ると、道を挟んだ向こうに商店街の入り口のアーチが見えます。
よかった。いすなちゃんの降りたホーム側の改札口は、目的地である商店街側だったみたいです。
「わたりま〜す!」
周りの大人達を見習い、信号が青になるのをじっと待って、高々と手を挙げながら横断歩道を渡ります。道を渡る時はそうするように、いつもお母さんに言われているのかなあ?
「かねがしさん、かねがしさん……」
買い物客で賑わう商店街の通りをてくてく歩きながら、金河岸さんのお家兼事務所を探していすなちゃんは進みます。
「かねがしさ〜ん! かねがしさんはいますか〜!」
でも、目立つ建物でもないのでなかなか金河岸さんの事務所は見つかりません。
「こまったな……わからないときは……よし! きいてみよう!」
場所がわからないいすなちゃん、お母さんの言葉を思い出すと、すぐ横にあった八百屋さんに訊いてみることにしました。
「あの〜! すみませ〜ん! かねがしさんはどこですか〜!?」
八百屋のおばちゃんに大きな声で尋ねるいすなちゃん。
「……!?」
どうやら気づいてはくれてるようですが、小さいので見えないのか? おばちゃん、不思議そうに辺りを見回しています。
「すみませ〜ん! かねがしさんはどこですか〜!?」
「あら、おかしいわね。空耳かしら?」
やっぱり、声は聞こえど姿は見えずのようです。
「すみませ〜ん! かねがしさんは〜! どこですか〜!?」
「あ、ああ、金河岸さんならそこの白い建物がそうよ」
三度目の正直。八百屋のおばさん、姿は見えないながらも通りの斜め向こうを指差して教えてくれました。
どうやら、すぐ近くにあったようですね。
「ありがとお〜!」
おばさん、ありがとう!
「ここだあ〜!」
いすなちゃん、八百屋さんを離れると、その白い真っ四角の建物の前まで歩いて行きます。
ああ、いすなちゃんはまだ字が読めないのでわかりませんが、ちゃんと入口のドアに「金河岸消費者金融」と書かれています。どうやらここであっているようですね。
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