ニ冊目 見えぬ糸

僕ってなんのために生きてるんでしょうか?神様。

一人の少年が知能の神にそう聞いた。

神はこう答えた

お前はお前のために生きている。

少年はさらに質問をした。

神様はなんのためにいるのですか。僕の目の前にいるあなたは神様なのですか。

神は答えた

神とはそれすなわち、人間を助ける薬だ。神は偶像に過ぎない。しかしながら人間というものは何かを信じることで生きてゆく。信じねば容易く絶えてしまう。しかしそこで神や他のものを信じることで生きている。

少年は最後にこう聞いた

僕に味方はいるのですか。仲間はいるのですか

神は少し呆れたように答えた。

それが分からぬようなら死は程遠いであろう。生を授かる者あらば生を授けるものもある。救いの糸細くとも垂れるものは垂れとる。貴様にはそれが見えぬのだ。

神は黙ってしまった。少年は眠りにつき、起きれば陽が昇っていた。

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