第13話
王宮の中はエレナにとっては住み慣れたところだが、当然行ったことない場所もあったし皇女だからといって入れない場所も当然あった。
幼少期、かくれんぼなどして遊ぶことなどなかったので隠れられる場所など思いつくはずもなく、ただ城の中を見回っただけだった。
このままでは埒があかないのでエクレオ皇女の部屋から城の出入り口までの道筋や警備の手薄になっている時間などを調べ、決行できそうな時間帯など調べる。
エレナの部屋の周りもそうだが、お姉さまの部屋の周りも警護が厳重でとても一人で抜け出すということは厳しそうだった。
お姉さまは当時どうやって失踪ができたのかしら?
調べたかぎり手薄になっている時間帯などなく、移動するにも警護が何人かついていたと聞く。
こんな状態でどうやって??
エレナは不思議でならなかった。
まさか。
誰か協力者がいたとか?でもお姉さまに協力してくれそうな人ってどんな人かしら?
いくら考えてもその答えには辿り着けなかった。
「うーん」
考えすぎて頭が痛くなってくる。
エレナは気分転換しようと庭へと出て噴水の方へ向かう。
庭園の噴水を眺めていると少し心が落ち着く気がした。
ふぅ……。
噴水の縁に腰掛ける。
お姉さまはいったい何を考えていたのかしら?
あのままの状態でも普通に婚約破棄できる環境だったのに王宮からいなくなるというのはいきすぎだと思う。
王宮の警備には調べた限りでは問題がない。
これは誰に聞いても変わらなかったし、自分で調べても変わらなかった。
聞き込みをして調べた結果だから警備の人間が嘘を着いていた場合なんとも言えないけど、証拠もないし断定はできない。
以前までのエレナだったら疑うことはなくそれが真実だと思ってそれ以上調べることはしなかったけれど、ジャン王子に指摘されてから疑念を抱くようになった。
いや…指摘される前、それこそお姉さまがいなくなってからモヤモヤとしており、ジャン王子との会話で決定的になったというのが確かかもしれない。
今ではお姉さまがいなくなったと部屋に来たお父様にも疑いを持つようになり、あれが正しい情報だったのかも怪しいのだ。
お父様とお姉さまは似ているもの…
2人がウォルフ国の考えを見抜けなくてこんな事をしでかしているという疑いもあり、エレナは自分の親と姉が信じられなくなっていた。
だってもう二ヶ月近く経っているのにお姉さまが見つからないのはおかしい…
みんなから甘やかされていた姉が王宮を出て一人で生きていけるわけがない。
絶対誰かが協力しているに違いないのだ。
疑問はつきないがこれ以上考えたところで何も出てこないだろうと思い考えることを一旦放棄する。
そして空を見上げる。
日は傾き空はオレンジ色に変化して綺麗な夕焼けが広がっていた。
この光景を見るとなんだか切ない気持ちになる。
肌寒くなってきたしそろそろ中に入らないととぼんやりとおもっていると、エレナを探しにきた侍女に声をかけられた
「こちらにいらっしゃったのですね」
「えぇ…」
「何か収穫は………なかったんですね」
彼女はエレナが1番信頼をおいている侍女で、彼女にだけはお姉さまの事やジャン王子に聞いた事を話している。
そして、今日王宮を調べると言った時も暖かく見送ってくれたし、彼女も何かお姉さまの事で何か出てくるのではないかと期待していてくれたのだが、エレナの顔見て察してくれた。
「ええ、何も手がかりがなかったわ。そっちは何か不都合はあったかしら?」
「そうですか……残念ですが仕方ありませんね。こちらはエレナ様が重要な書類を早めに処理をしていたので問題はございませんでした」
「それはよかったわ」
一通り侍女から今日の報告を聞いて部屋へと戻る。
結局成果はなかったが、また明日探せばいいだけなのだから焦っても意味はない。
それにしても本当にどこにいるんだろう?
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