第12話

まずエレナとジャン王子はお姉さま(エクレオ皇女)がどうやって居なくなったのか、またその前兆はなかったのかをもう一度調べて見ることにした。


いなくなる前日かその前にエレナに何か決めたことがあると言っていて機嫌が悪かったのに急に機嫌が良くなったことを今でも覚えている。


機嫌が悪くなる事がエレナの所に来る前に起こった事は確かでその原因がジャン王子にある事は間違いないはずなんだ。


エレナはその日にジャン王子の態度について怒っていたような気がしたのだが、あの日はいったい何があったのだろうか?


「前兆と言っていいかわかりませんが、お姉さまはある日、ジャン様に対してひどく機嫌を損ねていまして、その時になにか決めた事があると言っていましたが何か心当たりはありますか?」

「そうだな…」


そう言ってジャン王子はあの日何があったかを考えている。

あの日と言ってもエクレオ皇女は毎日決まった時間に来てお茶を飲んである程度したら帰っていくことが多く、特にジャン王子から話しかけることもエクレオ皇女から話があがる事もなかったそうだ。


でもその日だけはジャン王子から仕事はしなくていいのか?と質問があり、それに対してエクレオ皇女はそれに対してエクレオ皇女はいつもなら気にしない事を今日に限っては少し気になったようで、


「別にあなたには関係ありませんわ」

と珍しく素っ気なく返していたらしい。

それに対してジャン王子は気にもとめてなかったようだったが、それも原因かもしれないと言った。


そのほかは特に変わった点はなく、いつものように立ち去ったらしい。


たぶんその後エレナに会いにきて何かを決めたんだろうと思う。

実際にお姉さまは数日後お城からいなくなったのだから事実だ。


「エレナ皇女はエクレオの失踪をどういった形で知ったんだ?」

「そうですね。父からお姉さまがいなくなったと聞きました」

「それで自分の目で確認とかはしたのか?」

「…そうですね…、父がわたくしの部屋からいなくなった後、お姉さまの部屋に行っていない事を確認した他は城内は探していませんね」


エレナは実父の国王からお姉さまの失踪を聞き、城内はくまなく探した後だというこも聞いている。

それを鵜呑みにしたわけではないけれどお姉さまが隠れそうなところを探したということはない。


今思えば探してみればよかったと後悔している。

いまさら探したところでお姉さまは移動している可能性が高く、城内にはいないと思う。


「いや…、遅くはないと思うぞ。闇雲に探すよりもひとつづつ可能性を潰していった方がいい」


エレナが後悔しているとジャン王子がそう言った。

騎士団が探しきれていない部分、エレナしか知らない隠れ場所もあるかもしれないのだ。

お姉さまと遊んだ記憶はほぼないが会話で何かヒントを言っていたかもしれない。


「ありがとうございます。そうですね、まずは王宮から探してみることにします」

「そうだな。じゃあ俺は城下の方でなにかあったか聞いてみよう」


こうしてジャン王子とエレナはお姉さまを見つけるために探し始めた。

ジャン王子は主に情報を集めてくれるというので、エレナはジャン王子が関与できない王宮を調べることにした。


ジャン王子とのお茶会は衝撃的だったけれど、うまくいけば自国の膿を出せるチャンスのため頑張らなくてはと思う。


まずはお姉さまを見つけることが大前提で見つけてからジャン王子はお姉さまと婚約を破棄することを宣言するという。

その代わりに同盟を崩さないためエレナをしばらくウォルフ国に留学させることを提案しエクール国の情勢を見守るんだそうだ。


エレナの留学によって国がどう動くかそして傾いてしまうのか、自分達がどれだけエレナに負担をかけていたのかを知ってもらうために動くらしい。


けしてエクール国を滅ぼすためではなく、国の上層部が変わってほしいからの計画だ。

本当に国が危なくなったらエレナは留学を早めに切り上げて帰るつもりだし、ジャン王子も復興への協力は惜しまないという。


本当にありがたい話だが何度もいうようにこれへお姉さまが見つからないと話は進まないため、見つからなければこの話はなくなってしまう。


それどころかエレナはこんな状況が続くと過労で倒れてしまう可能性もあるし、お姉さまはもっと見つかりにくくなるだろう。


それだけは避けたいため、エレナはジャン王子の離宮から帰った後すぐに王宮を調べはじめた。

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