第9話
結局プロフィトの視察から1週間経ったあとやっとジャン王子の近況を見にいけそうになった
就任当初はどんなに忙しくても1日1回は訪問することができたのに、それもできなくて申し訳ない気持ちでいっぱいだ
むこうはもしかしたら気にしていないかも知れないがエレナは前までできていたこともできなくて悲しくなった
まずは開口一番に謝罪して…と考え、はっと思い出す。
ジャン王子はよく街に視察に行っていると以前きいたから、もしかしたらもうこの時間は部屋に居ないかもしれないと気づいた
いつも午前中に訪問していたので失念したのだ
「どうしよう…」
今は午後だ。人によってはお茶を飲んでいる時間だがジャン王子が大人しくお茶を飲んでいるとは思えない
もちろん今日は行かないという選択肢もあるけれどそれはそれで気になってしかたないし、次の日話した時に、今日は一日部屋にいたと聞いたら後悔するのは目に見えている
エレナが悩んでいるとふいにノック音が聞こえた
「はい」
「失礼します」
エレナが返事をすると入ってきたのはメイドで彼女はエレナに手紙がきたので届けに来たといった
「エレナ様、お手紙をお預かりしております」
「ありがとうございます」
メイドはエレナに手渡しすぐに部屋から出ていった。
手紙を受け取ったエレナはすぐに誰からきたのかを確認し、その宛名に驚く
手紙を出してきた人はなんとジャン王子からだったのだ。
エレナはすぐに封筒から手紙を出して内容を読んだ。
内容は最近挨拶に来ないがどう過ごしているかの言葉から余裕があるならお茶を飲みに来ないか?というお茶会の誘いだった
時刻は今から一時間後。
場所はジャン王子が滞在している離宮の中庭だった
エレナはずっと仕事をしていたから身支度なんてまったくできていないので、慌てて部屋に戻り身支度を整える
まずは、ドレスを着替えて化粧をし直した
準備が終わるとすぐに離宮へと出発し、歩いていく
離宮につくと、ジャン王子の側近がすぐに中庭へと案内してくれてエレナは挨拶をする
「お久しぶりです。この度は招待ありがとうございます」
「ああ、久しぶりだな。一週間ぶりになるが……ずいぶんやつれたな」
「ええ……まぁ」
確かに最近は疲れていたのもあり、自分でも健康的でないのはわかっていた
化粧で隠していたけどジャン王子にはわかってしまったらしい
ジャン王子は苦笑いをうかべながら椅子をすすめる
「まぁ、座れよ。お茶でも飲んでゆっくりしていけ」
「ありがとうございます」
そう言ってエレナは席につき、出されたお茶を飲んで一息つく
ここ1週間はゆっくりする時間もなく、こうやってお茶を飲むこともできなかったエレナにとって至福の時間だった
「……視察が終わってから仕事が忙しかったのか?」
「えぇ、数日離れても大丈夫かと思ったのですが、全然大丈夫じゃありませんでした…」
「ほう。そうか…」
目の前にはジャン王子がゆったりとした休日スタイルで一緒にお茶を飲んでおり、とてもリラックスしていた
エレナはそんなリラックスタイムにエレナを招待した理由がわからなく、最初はゆっくりしていたがしだいに疑問に思う
ジャン王子が休日をゆっくり過ごしているのに、私がいてもいいのかしら?
招待されたので、ここにいるのは大丈夫なのだけれどなにせ離宮に来ることが初めてなのでエレナは居心地の悪さを感じている。
招待される前までは、今日中には様子を見に行こうと思っていたのにこれはなんか違うと思っていた。
「…あの、なぜここでお茶会なんですか?」
「あぁ、俺はエクレオの婚約者でもあるから王宮の中庭でエレナを招待してのお茶会は不味いだろ?」
確かに…。それは不味い。
現段階で接待係はエレナになっているので、視察の同行やジャン王子の執務室に出入りしているのは国王が認めていることなので角は立たないが、お茶会となれば話は別だ。
お姉さまは婚約破棄したいと思っているそうだから好都合かもしれないが、知らない相手からしたら浮気していると勘違いされても仕方がない事をしている
「それにここでしか話せない話をしようと思ってな、だからここに招待した」
「…?」
ここでしかできない話ってなんだろう?
そこで聞いた話にエレナは驚愕するしかなかった
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