第8話

ここで1度なぜお姉様とじゃん王子が婚約したのかというのと、なぜ第二皇女であるエレナが国を将来背負っていくのかということを整理したいと思う。


エクール王国は今どき珍しい末子相続である。

なのでエレナがこの国の次期王女となることが生まれた時から決まっていて、そのために色々と勉強をしてきた。


たまにやりたくない時もありサボった経験もあるし、好きなことばかり極めていたこともあった。


お姉さまは遊んでいるのにどうして自分だけ大変なんだろうとも思っていたけれど、それは仕方がないと我慢して、いつしかそれが自然となってしまいなんとも思わなくなってしまっていた。


だからか仕事を片手間にお姉さまのお話を聞いていた事はあったけれど、その他は全く記憶にないのだ。


仕事が大変なのはお父様も仕事をあまりしていない疑惑もありエレナに負担がかかっていると思う。


お父様は昔から姉に甘く、お姉さまのわがままに付き合っている。

注意をする事もなければ受け入れている面もあるのでどうしようもない。


もしかしたら今回のこの失踪もお父様がなにか手を貸していなくなったかもとエレナは疑問に思っている。

お姉さまがいなくなってエレナの部屋に来た時は酷く憔悴していて手を貸すとかいう感じはしなかったのだけど、問題はお姉さまが見つかったときだと思う。


お姉さまが見つかった際にお父様に見逃してくださいとか、戻りたくないとかいうわがままを言ったらあのお父様は受け入れて、王宮に戻す事をしないのではとエレナは危惧している。


最初は仕事とかジャン王子の婚約とかどうしようかと悩まれていたけれど、ここ数週間でエレナは姉のいない穴を埋めているし、ジャン王子とも前より良好な関係を築いているため、さほど心配していないような気がする。


なのでお姉さまがいなくも平気という考えができるがそれは短絡的にみたらいいけれど、長期的と考えるとやめた方がいい。


仕事はエレナがカバーできるけれどジャン王子との関係もよくなったが、それはあくまでも交流であり、エレナの立場は婚約者の妹だ。


エレナはジャン王子の婚約者ではないし、国を背負っていく立場だからエクール国の制度を変えない限り婚約することはできない。


ジャン王子は第一皇族でもあるから、こちら側に婿入れとはならないだろう…


そもそもジャン王子との婚約話だってお姉さまのわがままから始まってまとまった話だ。

なのにそれを放棄するお姉さまの考えがわからない。


確かにジャン王子は獣人の中でも権威の高い狼で、黒髪だがサイドに銀髪が混じり、瞳の色は蒼眼だ。

顔も整っており、見目麗しい。


獣人族といっても尻尾や耳はなく、ってきりあるものだと尻尾や耳はあるものだと思っていたので挨拶した当初は驚いたものだ。


イケメンが好きなお姉さまはもしかしたら見た目だけで婚約者を選んだ可能性があって、後々獣人族と知って毛嫌いしてしまった可能性もありえる。


何をどうして毛嫌いしているのか不明だけど、自分で決めたことなら最後まで責任感を持って欲しいとエレナは思う。


今は誰よりも先に見つけることを優先に考えて行動しようとエレナは決めたのだった。


■■■■■■


プロフィトでの滞在はあっという間に終えて、王宮へと戻ってきたジャン王子のエレナは各々仕事に取り組んでいた


ジャン王子の状態はわからないが、エレナの仕事はたった2、3日居なかっただけで仕事が膨れ上がっている


エレナが見なくてもいい書類も中には混じっているのではないかと思う


誤字脱字も多いし、エクール国の行く末が不安でしかたがない。

エレナはため息を吐きながら一つ一つ書類を確認していく。

ほとんどの書類を作り直すよう報告し、一息つくけど、机の上にはまだまだ大量の書類が残っていた


これ、今日中に終わるかしら…

エレナは遠い目をした

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