第6話
隠れんぼという遊びは鬼が目をふさいでいる間に、その他の子ども達が物陰などの隠れる場所に隠れて、鬼が隠れた人を見つけるという単純な遊びだ
エレナは話には聞いていたが実際に遊ぶのは今日が初めて。できれば隠れる側がやりたかったのだけれど…
じゃんけんで負けてしまったので仕方がない
「では始めますわね。5分経ったら探しはじめるのでみなさんは隠れてくださいね」
「はーい」
エレナは目を隠し、周りを見ないようにする
音だけで子ども達が散り散りになっていのがわかり、鬼も楽しいかもと思う
5分後
エレナは子どもたちを探すため中庭の中を探す、中庭はひらけてはいるが、隠れるところは沢山あり、子ども達を全員探すのは一苦労だった
なにせエレナは今日初めてこの中庭に来たのだから中庭の作りがわからずこんなところにも隠れてられるのとエレナは子ども達を見つけるたびにびっくりしていた
全員見つけ終わった頃にはエレナはもうヘトヘトで隠れんぼも結構体力がいるのねと疲れ切っていた
「お姉ちゃん、もう疲れちゃったの?次は鬼ごっこして遊ぼうと思ってたのに…」
「ごめんなさいね…、少し休ませてくれるかしら?」
「うん!いいよー!」
子ども達は残念がっていて、エレナは自分の体力のなさに申し訳なく思った
しかし子どもたちはエレナが謝ると、気にせず笑い、子ども達だけで鬼ごっこをしはじめた
エレナは汚れるのも気にせず木の下に座り休みながら子ども達を見守る
神父様とジャン王子はいま話し込んでいるから、その間は見守らないとね
見守っている間、ふと昔の事を考える
私ってお姉様に遊んでもらったことなんてあったかしら?
皇族だから走り回るって遊ぶという事はなかっただろうけど、人形遊びや本の読み聞かせぐらいあったはずだ…
だけど、ずっと考えているけどそんな思い出はなく、思い出せるのは姉が一方的に喋っていたことぐらいは思いだせた
あれ?これ遊んで貰っていないのでは?と疑問に思い、幼い自分はどうしてこれが遊んでいて貰ったと勘違いしたのだろうと思う
まぁ、こんなことはいつでも考えられるのでエレナは違う事を考える事にする
それにしても、子ども等はなんて元気なのかしら?
隠れんぼは基本動いていたのはエレナだけだったからそんなに体力は消費していないはずも、エレナと遊ぶ前も皆んなで走り回っていたはずなのにどうしてだろう?
「エレナ皇女、すっかり待たせてしまってすまないな。大丈夫か?」
「ええ、大丈夫です。子ども達と遊んでいたのでそんなに退屈しませんでしたわ」
「そうか。それならよかった」
神父様との話が終わってエレナへ謝ってくるジャン王子
エレナは謝る必要はないのにと思う
こちらが先に2人の話についていけなくて戦線離脱したのだから逆に謝るのはこちらだ
「エレナ皇女、子ども達を見てもらってありがとうございます。ご迷惑をおかけしませんでしたか?」
「迷惑だなんてとても…。逆にこちらが子ども達の遊びに誘っていただいたので、とても楽しかったわ!」
「よかったです」
楽しかったのは本当だ
エレナの体力が持てばこのまま別の遊びもしたかったくらい楽しかった
「ここの子ども達は賢く、元気いっぱいね。神父様が教えているからかしら?」
「そう言っていただき嬉しいです。子ども達にはいつかここを出て自立できるようしっかり学ばせることはもちろんですが、しっかり自分で考えることを教えています」
「まぁ、素晴らしいわね。それはどの孤児院、教会も共通しないといけないことね」
今日、ここに来てわかったことだけど、話に聞くだけではなく、自分で体験してみないとわからないことはある
どういう風に教育しているかも大事なことなので、そこも王都の教会一人一人に確認したいと思った
お姉様ももしかしたら王都にいるかもしれないし、自分で探すのもありかもしれないわね
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