第4話
次の日からプロフィトの視察は始まった
宿屋で朝食を食べてもよかったのだがどうせなら朝市に行こうという話になり早々にチェックアウトをした
朝市は王都に負けず劣らず賑わっていた
「王都の朝市にも行ってみたが、あちらとはまた違った賑わいだな」
「そうですね。個人的にこっちの方が活気があるように感じますね」
ジャン王子と共にゆっくりと市場を見てまわる
「そこにいる兄ちゃん!この果物買って行かないかい?朝とってきたから新鮮だよ!」
と果物を売っている恰幅のいい女性に声をかけられた
「ああ。ありがとうございます。では4人分貰えますか?」
ジャン王子は人数分の果物を購入してエレナに手渡した
「お嬢ちゃんは可愛いからサービスしておいたよ」
「まぁ、ありがとうございます」
エレナは満面の笑みを浮かべて礼をいう
その笑顔は周りの客達も見惚れているようだった
早速購入した果物を片手に食べ歩きをする
ちなみにいうとジャン王子もわたしも変装をしているので人々にはバレていない
誰も一国の皇女と王子が食べ歩きをしているなんて思わないんだろうな
「わぁ、このリンゴとても美味しいですね」
「…そうだな、少し俺には物足りないが瑞々しくて上手いな」
「ふふ、朝食には少し足りないですよね?あちらの屋台で何か買いましょう!」
そう言って屋台の方へ向かっていくエレナ
その屋台は薄い生地に味付けがしっかりされた肉と新鮮な野菜が巻かれたラップサンドで今度はエレナが人数分を購入し皆に配る
「…さっきからずっと思っていたがエレナ皇女は手慣れているな。こういった食べ歩きに抵抗はないのか?」
ラップサンドを受け取りながらジャン王子はエレナに疑問に思っていたことを聞くとエレナは
「抵抗ありましたよ。最初の頃は貴族御用達のお店で食事をする事がほとんどでしたが、いつしか高級な料理よりもこういった屋台で食べる料理の方が美味しそうに見えて……、そこからですね食べ歩きというのに目覚めたのは」
と言った
屋台の商品は一度たべたら病みつきになるのよね
初めて食べた時の感動は今でも忘れないわ
「そうか…、姉妹でも考え方は違うのだな」
エレナが初めて屋台で食事をした時の事を思い出しているとジャン王子がそんな事をいってきた
「それはそうですよ、確かにわたくしは姉を尊敬していましたが考え方は異なります」
「そうだな、今まで誤解をしていた。すまなかったな」
「いえ…」
やっぱり姉の性格を考えると妹も同じような性格だと思われるのはしかたないよね
今回で誤解がとけて本当によかったわ
近くのベンチに座りラップサンドを食べる
これを食べ終わった後、次はプロフィトの役所に出向いたり孤児院など見てまわる予定だ
プロフィトの街は食事関連や娯楽、宿屋が多く今回急な来訪でもなんなく人数分の部屋がとれ、観光客が多い感じだ
王都より少し離れているので海の幸は少ないけど、その分、野菜や果物が新鮮でおいしい
今食べているラップサンドもおいしかった
あっという間に食べ終えて役所へとむかうつもりだったが
従者に道を確認してもらうと役所に向かうよりも先に教会に行った方が早いという事がわかったのでそちらに向かう
街の様子を見ながら歩いていくと教会へはすぐに着くことができた
従者の話によると役所はもっと奥の方にあるみたいだ
教会の中に入ると正面に大きな女神像が飾ってあり、ステンドグラスから光が差し込み幻想的な空間になっている。
神父さんに会う前に祭壇の前に行き手を合わせる
どうかお姉さまが早くみつかりますように…
もっと他にも願うことはあるような気がするが今はこれくらいしか思いつかなかった
「さあ、行こうか」
ジャン王子に声をかけられてエレナは祭壇からはなれた
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