第3話

お姉さまの事は姉として尊敬はしている。それはエレナにとって間違いない事実だ


作法や淑女の嗜みなどはすべて姉を参考にいままでやってきた

姉が困っていた場合力になってあげたいと思ってはいたが、ここ最近姉に失望している


仕事関係や我儘が酷く皇女としてあるまじき行為をすることがあったが、それでも自分の姉だと目を瞑ってきたし、公の場ではしっかりといい皇女を演出してきて、隠すのが上手いとエレナは感心していたのだ


だが、姉の失踪により評価を改めるしかないとエレナは思った


わたくしも姉の意見によりジャン王子を誤解していましたが、口調はイラッときますが、姉が言ったとおり威圧的も少しありますが、むしろ少し不器用な方だと感じました


お姉さまはジャン王子の事を表面的でしか見ていなかったのではないでしょうか?

そもそもウォルフ国との婚約も姉の我儘で決まったようなこと、なのに姉はジャン王子の事を嫌っている時点で話がおかしいんです


挙句の果てに今回の失踪は多くの人々に迷惑をかけて一国の皇女としてあるまじき行為をしていると思う


お姉さまが見つかった場合はそれなりの罪を償って貰いたいところだ


お姉さまの事を考えているともうプロフィトについてしまった

割と早い時間に出てきたのに、休み休み行ったため着いた頃にはもう夜だった


視察は明日からすることにし今日はもう宿に泊まることになっている

部屋割りは急な訪問だったのだが各自一部屋ずつ貰えることになり、一安心だ


「ご主人この街で美味しい飯が食べられるところはあるか?」


部屋もとれて落ち着いた頃

ジャン王子が宿屋の主人に尋ねていた

できればガッツリとした肉が食べたいとも注文しており、主人は少し困ったような顔をしていたが、はっと思い出して宿屋からしばらく歩いたところにある酒場を紹介してもらった


その酒場に行く際、エレナも誘われてついて行くことを伝えるとジャン王子はびっくりしていた


ついて行かないと思ったのだろうか?

エレナだってプロフィトの食べ物は気になるのだもの、食べたいと思うよ?


「…そういうところはエクレオ皇女と違うところだな」

「そうですね、姉は安価な価格で食べられる食事よりも豪華なディナーを好みますから…」


酒場なんてお姉さまは絶対に行かないお店でだもんね

高級な料理ももちろん美味しいけれど、わたしは下町で食べられるご飯の方が好きだなと思う

完成された料理はどこか味気ないと思うのは、わたしの舌がおかしいのかしら?


「ふっ、いいと思うぞ。少なくとも俺は気にしないな」

「…っ、ありがとうございます…」


急に笑みを向けられるからときめいてしまった

ダメよ!この方はお姉さまの婚約者なのだからある程度の距離を保たないと!


そう思っているともう酒場みたいなところに着いてしまった

中はザワザワと騒がしく、席まで案内されるのにちょっと時間がかかった


料理は大味で、ガッツリ系のものが多くて美味しいし、満足感がある


「どれもこれもみたことのない料理だが上手いな」

「そうですね、こちらの串もなかなかですよ」


ジャン王子も満足のいくものが食べられていて手が止まらないようだ、食べているものはお肉料理が中心的でお酒も嗜んでいた


この料理にお酒はとても合うと思う

できればエレナもお酒を飲みたかったが、ここは着いてきたメイドに怒られてしまったので、今回は見送った


いつかは隠れて飲んでやると計画しているが、今日ではないねと諦める

お酒がたくても料理は楽しめるもんね


食事がおわり各自部屋に戻るとエレナは今日あったことをまとめた

といっても今日はほぼ移動だけだったので、あまり書くことはなかったが、有意義な1日だったと思う


「エレナ様、そろそろ就寝の支度をいたしましょう」

「ええ、そうね」


明日は朝から視察へと忙しいと思うのでエレナは早々に眠りについた

移動だけでも身体は疲れているものでベッドに入っただけで睡魔に襲われ、次の日の朝はスッキリだった



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