第九話 出発
ギルドに着いて一緒に辺境伯領へ行く方々と話した後、少ししてギルドマスターが来ました。
そして、姉様に対してエルバートさんやロゼリアさんと同じ質問をしていました…
その場では言いませんでしたが、そこまで私が疑わしいのでしょうか?いえ、エルバートさんが質問するのは分かるんですよ?
ですが、ロゼリアさんとギルドマスターは、なんでギルド側なのに高ランクの冒険者を把握して無いんですか…
というところでギルドマスターが話し始めました。
「さて、高ランク冒険者の諸君、よく今回の依頼を受けてくれた。ここにいる全員は顔合わせが済んでいると思うが、もう1人一緒に行く者がいる。その冒険者と顔合わせをして欲しい。というわけで、Aランク冒険者のイースだ。」
なるほど?今ここに居るのは私と姉様を含めて5人…先日顔合わせしたSランクのお二人と、受付嬢のロゼリアさんだ。
少し少ないとは思っていたが、まだ1人居たとは。いや、それでもまだ少ないとは思いますけど……
そして、ギルドマスターに紹介されてこちらへ来たのは、私より少し背が高く、白髪を肩まで伸ばした中性顔の人でした。
「あぁ、イースを突然紹介する事になったのは、イースは先日まで依頼で街を離れていてな…先日帰ってきた為、参加が決まったのが先日でな。先程まで説明で時間を取っていたんだ。それと、イースは言葉が話せんから気にしてやってくれ。」
成程。だから今になって合流何ですね。
というか、言葉が喋れない?どうやって意思疎通をするのだろうか…まぁ、辺境伯領に着くまでに解決すればいいか。
そんな関係のない事を考えていると、エルバートさんによりギルドマスターへ質問が入りました。
「ギルドマスター、質問なのですが…今回のメンバーはこの6名で全員ですか?」
「…それについても説明しなければな……」
ギルドマスターは深刻な表情で話し始める。
「今回、時期が悪かったとしか言い様が無い。このギルドをメインに活動している高ランク冒険者の殆どが、現在長期依頼で街から離れている…」
……すぅ、ふーん?つまりあれですかね、たった6人で戦争に…防衛戦の援軍に行けという話ですね?
私含めてSランクと元Sランクが4名いるとは言え、6人は難しいのでは?しかし、ギルマスの様子からするにまだ話がある様に思える。
「…そして、依頼内容に付け加える事にした。防衛を困難と判断した場合、前線から引いて市民の避難を最優先にしろ。以上だ。」
ギルドマスターはその言葉を最後にギルドへと戻っていった。
……ギルドマスター、案外いい人なんですね。
いえ、前の依頼でも何となく分かっていましたが、ここまではっきり言うとは。
市民の避難と名目を打って、冒険者の被害を少なくしようとしてるんですね……
ギルドマスターの姿が見えなくなってから、ロゼリアさんが話し始める。
「皆さん。それでは出発しましょう。」
その言葉に対して、肯定の意を表す。
そして、私は全員の顔を見渡してみる。
エルバートさんやソフィアさん、ロゼリアさんにイースさんも、皆覚悟を決めた様な表情をしている。
…そういえば、普段のぽやぽやした様子の姉様なら少しは話すと思ったのですが、一言も発しませんでしたね。様子を見てみ……
あっ、とっても怒ってらっしゃる…ですよね、だって過去にそういう国の勝手な奴で被害受けましたしね…まぁ、私も若干怒ってますが。
この時代に目覚めて、試しとは言えお嬢様に仕えて…多少は、愛着が湧いたんですよ。
今回ばかりは、手加減なんて必要無いですよね……
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「モルベア辺境伯、聖国の軍は現在、辺境伯領と聖国の境界にある草原にて拠点を建てている様です。斥候の報告によると、主力である六聖が最低でも2人、最前線に居るとのことです。」
「……うむ。」
私…モルベア・マグダラスは目の前の冒険者から報告を受け取っていた。
先日、【豪嵐の銀猫】ソフィア・レイエスから受け取った報告を元に、【魔法議会】へと出向いていた。
要件は新しいSランク冒険者、フレニカの主人であるエレネス・フォン・クレヴィア子爵令嬢に、領地の防衛にフレニカ殿の力を貸してもらう為だ。
幸い、快く了承してもらうことが出来た。
そして先程入ったギルドからの連絡でも、今日の正午に高ランク冒険者6名が出発したとの報告もあった。恐らくフレニカ殿も入っているだろう…道のりから考えるに、1日あれば着くだろう。
6名しか居ないのが不安ではあるが、防衛へ手を貸してくれるだけありがたい。
今この前線の街にいる高ランク冒険者は片手で数えられる程しかおらず、先程の話にあった6名を足しても10名に満たない……
聖国の主力である六聖は1人でSランク二~三人分の力を持っていると情報が入っている。
今回、私の予想ではあるが六聖が全員出ていてもおかしくない。
単純な考えで最低でもSランク12名が必要となるのだ…
しかしソフィア・レイエスからの報告が確かなら…フレニカ殿がSランクを逸脱した力、unknown程の実力を持っているなら、何とかなるかもしれない…
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