第五話 予感

先日お嬢様が【魔法議会】に出席する為にエクレシア様と共に屋敷を経たれました。


今頃議会の会場に着いている頃でしょうか。

それはさておき、私の目の前にいる少女…【豪嵐の銀猫】さんはどうされたんでしょうねぇ……


私の記憶が正しければSランク試験の後直ぐに街から魔力反応が遠ざかっていったと思うのですが…

今はお嬢様も居ませんし…取り敢えず聞いてみない事には変わりません。


「あの、どうされたのでしょうか?」

「お前のギルド証を渡しに来た!」


「…ギルド証、ですか。確かSランクになると新しく作られるのでしたか?」

「そうだぞ!2つ名に合わせたものに作り替えられるんだ!」


なるほど…Sランクと判別しやすいようにですかね?………え?2つ名?サラッと聞き流しましたけど2つ名が付いたのですか?


「あの、2つ名が付いたのですか?」

「?Sランクになる時に自分の2つ名を聞いてないのか?」

「…全く聞いてないですねぇ…」


聞いてないが?全く聞き覚えが無いが?

え?お嬢様もそんな事言って無かった…のは突然だったから良いとして、受付嬢さんからも聞いてないが?


「取り敢えず、ギルド証はしっかり渡したからな!あと、受付嬢が話があるからギルドに来て欲しいらしいぞ!」

「…はい、解りました。」


…突然の事で色々と言いたいことがあるが彼女に言うのは違うだろう。それより、ギルドで話があると?突然何でしょう。

Sランクになった事が何かしら関係あるとは思うのですが…情報が全く無いので分かりません。


取り敢えず、姉様に話をしてからギルドへ向かいますか…

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どこにいらっしゃる?あの人部屋に居ない上屋敷の中のどこにも魔力反応がないのですが?


取り敢えず見つけないと話にならないので更に魔力探知の範囲を広げてみる。街にも居ない……一体どうなっているのですか…?


こうなったら本人を見つけれずとも残留魔力を辿って姉様の居る方向だけでも探しますか…

魔力の残っている方向は、この屋敷から屋敷の庭…


え?屋敷の庭で途切れてるんですけど…

魔力の完全遮断を出来るようになった…?いや、そんな筈は無い。初めて一月ちょっとで出来るものでは無いし、例え出来たとしても私は追跡する手段を身に付けている……


まてよ?横に広がって居ないとすると、上?

さっきから探すために横へ広く魔力反応を調べていましたが、上は調べてないですね…

少し、調べてみますか。


……庭から残留魔力が上に繋がっていますね。

残留魔力の性質上、上下の反応は判別しづらいのが盲点でしたね…


ん、ありました。姉様の魔力反応がこの屋敷の上空にあります。少し上空を回って居ますね…

取り敢えず、早く話を済ませましょうか。


庭から上空に向かって行く為に魔法を発動する。

『空間系統魔法・結界』

これを使って上空へ行く階段を生成します。「結界魔法」なので魔力でしか探知出来ない為目立ちにくいのが良いですね。


それと、誰かに見られると不味いので念の為にもう1つ使っておきますか…

『空間系統魔法・阻害結界』

「阻害結界」をこの屋敷とその上空全体を囲う様に貼る。


これは阻害結界の中にある人、物体、魔力といったあらゆるものを外から認識出来ないようにするものだ。さて、やっと姉様に話をしに行けます…

_______________________


ということで、現在私は「結界魔法」で作った階段を駆け上がっています。そろそろ姉様の居る高度に着きますが、先に魔力探知をしておきましょうか。


……すぐそこの雲の上ですか。あと少しですね。

そういえば、今更ですけど「転移魔法」を使えば速かったのでは…?

いえ、私は何も気付いてない……


っと、目の前に姉様が見えますね。何やら仰向けで目を閉じながら飛んでいますが…声を掛けて観ましょうか。


「姉様、何をしているのですか?」

「………あら?フレニカちゃん?こんな所までどうしたの?」


「どうしたの?じゃ無いんですよ…急に屋敷から居なくなったと思えば、なんで空を飛んでるんですか?」

「あぁ、これはね、魔力制御をするようになってから繊細な魔力操作が必要な魔法が使えるようになったのよ。それで楽しくて飛んでたらここまで来ちゃったのよ。」


この人は、ほんとに自由ですね…あの時とは性格の印象が違いすぎて同じとは思えませんよ。

…いえ、これが素なのでしょうね、あの時と比べたら、余程良いことです。


それよりも、そろそろ本題に移りますか。


「姉様、私はギルドより話があるとの事で少し出ます。話によっては帰りが遅くなるのでそのことを伝えておきます。」


「あら、そうなの?それじゃあ屋敷に戻って待ってるわね。…あぁ、そういえば私、ギルドランクがAランク?になったから、フレニカちゃんと一緒に行けるようになったわ。」


「…そうですか。それでは、今度パーティを屋敷組んで依頼を受けますか。」

「えぇ、楽しみにしてるわ。」


話を終えて姉様は降りていった。魔力反応的にしっかり屋敷へと帰っているので大丈夫でしょう。それでは、ギルドへ向かいますか。今度は「転移魔法」を使って。

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人目につかないようにギルド付近の路地に転移して来ました。……そういえば、また服装をメイド服のままで来てしまいましたね、今なら転移すれば間に合いますが…面倒臭いので良いでしょう。


そんな事より早くギルドに入りますか。

さて、いつもの受付嬢さんは…いました。


「こんにちは。話があると聞いたので来ました。」

「フレニカさん、来ましたか。早速話を…と行きたいのですが、重要な話なのでギルドの会議室へ行きましょう。」

「分かりました。」


取り敢えず話しかけたが、会議室を使う程の重要な話とね……しかも受付嬢さんの顔を見ると若干の焦りが見える。


これはこれは…なにやら大事に巻き込まれそうな予感がしますね…はぁ、貴族絡みの次にSランク試験と続いて、次は何でしょうかね…

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