永き祈りの実る時
プロローグ 永き想いは心の内に
今章から微百合あり。
苦手な人は注意してください。
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本日は【永き祈り】エクレシアが2度目の訪問をしてくる日だ。お嬢様曰く、私がギルドに行っている間に手紙が届き、件の研究資料について話があるとか。
それに、確か午後に来訪してからそのまま屋敷に泊まって行くことになったとか言っていた。なんで?なんでそんな話になってるんですかね。
まぁ取り敢えず、そんなことよりも朝食を作らなければ…
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お昼を過ぎてから暫くして、屋敷に誰かの訪問があったので、出迎えに行くと、エクレシアが来ていた。
「いらっしゃいませ、エクレシア様。お嬢様の部屋へご案内致します。」
「なんだい、フレイア。久しぶりに会ったのにつれないじゃないか。エレネス嬢の前ではそれでいいけども、せめて2人の時は前みたいに話そうじゃないか。」
会って早々にニヤニヤした顔でそう言ってくる。この人は、全く…言われたので口調は崩すが、この前名前をハッキリ伝えた筈なのだけれども?
「……はぁ、この前、今はメイドのフレニカだと、そう名乗った筈ですが?」
「ふふふ。そうだったね。でも私はフレイアと呼ばせてもらうよ。」
………この人には何を言っても無駄だろう。昔から彼女はそうだった。ここは素直に諦めよう。
「………お好きにして下さい。」
「ふふっ、素直じゃないにゃ〜。」
「そもそも、私を封印したのは貴女でしょう?再開出来て嬉しいとは思うけど、少し様子見に走るのは当たり前です。」
何を今更。私だってあんな昔の友が今も変わらず元気にしていて、再開できたのは嬉しく思う。だが、私を封印したのは貴女なんですよ?
「そうだったね。でも、私が封印しなかったら君は宰相に処分されていた可能性が高いのだよ?」
「…だとしてもです。他にも手段はあったでしょう?「生命系統」の魔法を使って仮死状態にするとか。封印されてても時の流れは変わらないんですよ?」
宰相に関しては、薄々気づいて調べていましたから知ってます。だとしても、まだ私にはやるべき事があったと言うのに…
「………それは悪いことをしたと思っているよ。でも、そうしたとして君は絶対…いや、やめておこう。」
「なんですか。言いたいことがあるなら言って下さいよ。」
「いやいや、私のやることが済んで、いつか言える時が来たらね。」
「…それなら、そのやるべき事を早く済ませて、話を聞かせて下さい。」
一体何を言おうとしたのかとても気になるが、彼女がそういうならそれまで待つことにしよう。
と、話していたらあっという間にお嬢様の待つ執務室へと着いた。
「さてと、エクレシア様、こちらでお嬢様はお待ちになっております。」
「ふふっ、エレネス嬢の前でも口調を崩して喋ってみるかい?」
「………ご冗談を。」
ほんとに、悪い冗談だ。でも、こうやって冗談を言ったりするのは、とても懐かしく、そして心地よく感じるな。
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エレネス嬢の居る部屋へたどり着くまでにフレイアと沢山話してしまった。
フレニカと名乗っているらしいが、私にとってはいつまでも彼女はフレイアだ。
だって、私が他人に初めてあげたプレゼントが、フレイアというその名前なのだから。それに、貴女と居れなかったその時間を、取り戻したいから。
フレイアを封印した件は、本当に申し訳ないと思っていた。でも、彼女はそうでもしないと、絶対に止まらないから。
彼女を初めて見た時からそう気付いてた。
だからこそ、世界が変わって、彼女が笑える…そんな世界になるその日まで続く強力な封印を施したんだから。
それに何より、一目見た時から貴女の事を、好きになってしまったから。
でも、これは心に隠しておこう。まだ、やるべき事が残っているから。
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