第十二話・閑話 おめでとうございます(諦)
私の名前は「エレネス・フォン・クレヴィア」
シルファール王国のとある子爵家の次女として生まれた。
ここ1ヶ月で新しく雇ったメイドの方がいるのですが、これがまた規格外と言うべきか…
この前あった話ですが、私は魔法の研究をしていて、その研究に目を掛けてくれた伯爵様がいました。その伯爵様の口車に乗せられて、大事な研究資料を全て伯爵様に渡してしまいました。
渡すまでは温厚、とは言えませんが、それでも【魔法議会】に伯爵様の名前を貸して資料を提出出来ると言っていました。
【魔法議会】というのは、シルファール王国に居る中でも優秀な魔法使いや研究者の方々が神話の魔法や『
伯爵様は魔法研究者の中でも信用されている位置に居て、そんな伯爵様なら、と思っていたのですが…
まさか、渡した研究資料をそのまま自分のものとしてしまいそうになるとは。
それに気づけたということで言えば、伯爵様の口の軽さには感謝ですが…まさか受け取ってすぐに自分の立場の話をするとは。
それに、伯爵様に付いていた護衛の方も、魔力量は少なそうでしたが、身のこなしや使っていた魔法の精度からして高ランク冒険者と呼べるものでしたが…
フレニカさんに、何も出来ずに負けたんですよね…本当に、何者なんですかね?
彼女は話したくないようですし、私の信頼が足らないのでしょう。まだ出会って一月程しか経っていませんしね。
後は…彼女の話で言えば彼女が姉と言って連れてきて雇ったメイドさん、イルミナさんと言うのですが、彼女は彼女で凄かったですね…
まずなんと言っても見ただけで分かる魔力量、あれは凄かったです。
完全に制御されて抑えられているイメージのフレニカさんの魔力とは真反対に、荒々しい魔物のような魔力でした。
多少魔力に精通していれば一目で分かる程です。
ですが、それから数日して魔力が希薄になりました。2人とも冒険者ギルドに行った後、フレニカさんしか冒険者ギルドに行かずに屋敷にイルミナさんしか居らず、暫く家事はイルミナさんがしていました。
もしや、家事をする事で魔力に何かしら影響があるのでは?と疑ったのですが、それにしてはあまりに急でしたし、一体何なのでしょう?
彼女の話はまだまだ出てくるのですが、この辺にしましょうか。フレニカさんがギルドへ行ってから帰って来ましたので。
「帰ってきたのですね。」
「お嬢様、何かありましたでしょうか?」
「いえ、ただ貴女が見えたので声をかけようと。」
そうです。フレニカさんが帰ってきたのが見えたので話しかけました。使用人とのコミュニケーションも大事ですからね。
「ところでお嬢様、私本日からSランク冒険者となりました。これからも宜しくお願い致します。」
「えぇ。それは良かった。…え?」
今軽く言いましたがこの人なんて言いました?…Sランク?あれ、私と出会ったのって約一ヶ月前ですし、ギルド登録したのもその位だったはずですが…
一応聞き間違えかどうか確認しますか…
「あの、今Sランクと言いましたか?」
「はい。先程Sランクになりました。」
あぁ…聞き間違えじゃなかったんですね。これは、なんと言ったらいいか…
「フレニカさん。」
「私の名前を初めて…何でしょうか!お嬢様!」
「おめでとうございます。それと、これからも宜しくお願いしますね。」
私はもう、この人のことに関しては全て諦めてしまった方がいっそ楽になれるだろうか…
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