第八話 分からない事だらけ

Sランクの少女が来たりお嬢様から冒険爵について説明を受けたりした日の夜、自室にて、私は考えている事を日記にまとめる事にした。


<冒険爵についての説明時にあった、終焉級の魔物、それはいつ現れ、今は居るのか。unknownが対峙した場合の具体的な指標が何故あるのか。


Sランクの少女。彼女は過去、白狼族の

元村にて、全滅した騎士団と共に発見。

襲いかかってきた為対処し、記憶に干渉する魔法を掛けた。

その後姿を見られないよう見張っていたが、あの時に発した「穏やかな人」という言葉により、今日出会った彼女と同一人物だと分かった。

だが、730年経った今、姿を変えずに残っているのは何故か。>


そこまで書いた所で、自室の扉が開いた。


「フレニカちゃん。今日誰か来てたみたいだけど、誰かしら?私はお嬢様から何も聞かされて無いのだけど…」

「姉様、ノックくらいして下さい。

今日来たのは件の魔力が分かるという冒険者です。危なかったですね、後ちょっと魔力偽装の習得が遅れていたらバレていましたよ。」


「あら、そうだったのね。ねぇ、フレニカちゃんはどう思う?」

「何がですか?」


「生き物の寿命について。」

「何故いきなりそんな事を?」

「ふふっ。私ね、心が読める魔法を使えるの。」

「特定の種族しか使えないあの魔法ですか。」


「そう。だから分かったの。貴女が考えてる少女について。残念ながら、「穏やか」というのは分からないけれど、寿命についてなら答えとまでは行かずとも手掛かりを出せるわよ。」

「…そうですか。なら、聞かせて貰えますか?」


「ええ。二つあるのだけど、そのひとつが、獣人の話。とある鳥族の男はね、神鳥の血を受け継いでいるって話してたわ。

そして、部族の中から稀に羽の色が違う子が生まれるんですって。」

「それで?」


「その子は神鳥の力を宿した子供で、成長すれば神鳥の力を扱える様になるって話してたわ。」

「それでその話は終わり?」


「えぇ。ここからは2つ目の話なのだけれど、昔も昔、記録も残っていないような太古の時代に、荒れた大地を治める為に、

神が遣わせた神獣達が降りてきたそうよ。神獣達は永遠の命を持ち、長い間大地を治めたそうよ。」

「ふむ。」


「そして、ある時人族や獣人、動物が繁殖し、暮らし始めた頃、自分達は不要と思い、神界へと戻って行ったそうよ。でも戻る前、もし何か会った時の為と、獣人達に自分達の血を与えたそうよ。」

「なるほど。つまり、彼女は...」


「ええ。神獣の力を宿した者ね。」

「でも、それなら他にも神獣の力を宿した者が居ても良いと思いますが…」

「それについては私もわからないわ。

永遠の命を持つのに居なくなってしまった者達。何があるのでしょうね。」


そして姉様は部屋から出ていった。

話したいことだけ話して終わったら速攻消えるって…まぁ、今回は割と話をまとめる事が出来たから良いが。

日記の続きを書く。


<神獣とは実在するのか。

実在しない場合、神獣の血、力とは一体何なのか。

神獣の力を持つ者はどこへ行ったのか。

神獣の持つ永遠の命とは、何を指し示す物なのか。>


さて、まとめてみたは良いものの…

分からない事だらけだな。

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