第#話・閑話 記憶の断片1

───────────────────「聞いたか?騎士団が魔物の群れの討伐に向かうらしいぞ。」

「あれだろ?知性のある魔物が生まれてそいつが統率してるから数々の冒険者が散っていったってゆう。大丈夫なのか?」

「大丈夫だろ。うちには【国の剣】って呼ばれてる騎士団長が居るんだから。」

「速く討伐されるといいな。」

───────────────────「既に付近の小国が五国も潰れている。

いち早く魔物に対処するために我が国の騎士団を派遣する。」

───────────────────「騎士団が出発するぞ。」

「先頭の女はあんな軽装で大丈夫なのか?」

「知らねぇのか?あの女が団長なんだぜ。なんでも鎧を着ると動きの邪魔になるから魔物の革を使った軍服を着てるらしい。」

「そうなのか。」

「そんなことより、今はいち早く魔物が討伐される事を祈ろうぜ。」

───────────────────「魔物の数が多いな。副団長、別の戦線はどうなっている。」

「念話によると負傷者が数名のみです。」

「良かった。このまま魔物の数を減らしていき、例の魔物が出るまで耐えるぞ。」

「了解しました。」

───────────────────「Sランクの魔物が複数出現!しかし、報告にあった数よりも圧倒的に少ないです!」

「何だと?まさか...全団員に告げる!

副団長を指揮として、国の各防衛拠点へと行き、魔物を倒せ!」

「団長!しかし、それでは貴女が、」

「いいから行け!防衛拠点が突破されたら国が危なくなる!この場は私が引き受ける!命令だ!」

「・・・わかりました。総員撤退!一番隊から三番隊までは北東の拠点へ、四番隊から六番隊までは...」

「さてと、行くか。魔物達よ、我はグリフィア王国騎士団団長、フレイアである!

ここから先は通さん!かかってこい!」

───────────────────「お前が魔物達が従う者か。」

「その通り。私は知性を持って生まれたと言われている。」

「言われている?随分他人事だが。」

「そうよ。だって私は知性を持って生まれたのではないわ。知性を植え付けられて生まれたのよ。」

「・・・一体何の話を?」

「話してあげるわ。貴女はわかってくれそうだからね。」

───────────────────「ふぅっ...ぐっ...」

「どうしたの?もう終わり?」

「今の私はお前に勝つことはできないようだ...其方は、国が滅べば満足するか?」

「急にどうしたのかしら?まぁ、そうね、国が無くなれば良いわ。そうすれば、また私のような者が生み出されることは無いのだから。」

「そうか。私は、任務を全うしよう。」

「・・・貴女、何を...」

「【宣誓魔法】『我がスキルを犠牲に奴を封印する。』」

「この結界は、」

「封印を施した。この封印が解けるのは私が解いた時か国が滅んだ時だ。」

「・・・そう、でも国が滅ぶまで他の人が犠牲になるのよ。」

「それはない。何故なら私のスキルが今無くなったからだ。」

「そう、どんなスキルなのかしらね。」

「さぁな。私はお前を討伐した。その代償に力を失った。それで良い。」

「どうなるのかしら。」

「・・・私は死ねないからな。いつか合うのではないか?」

「死なないじゃなくて死ねないね。

良いわ、またいつか。」

「・・・じゃあな。」

───────────────────「国王、あの魔物を倒した団長を処分すべきだと思います。いつか真実を知られた時に国に牙をむく可能性があります。」

「そうか。・・・これも我が国の為だ。

国民には騎士団団長が命を犠牲に魔物を倒したと告げよ。急ぎ封印魔法を使える魔法使いを集め、封印する神殿を作れ。」

───────────────────「何故私は封印される?」

「国の為だ。その力は強大すぎる。」

「・・・いずれ国は滅ぶぞ?」

「そんなことがある筈が無い。

魔法使い達よ、こいつを封印しろ。」

「・・・」

───────────────────

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る