第11話似合う防具があるかしら

3人は宿屋を出て、防具屋に向かった。

(ちょっと聞いてもいい?)

リールが山田に言った。

(どうして先に防具屋なの?武器屋じゃないの?)

リールの攻撃魔法が先にヒットした方が有利だと思うのは、当たり前だと山田も思う。

でも、ここでは山田の持論を言うことにした。

(考え方はいろいろあると思うけど、まず防御から入って、できるだけダメージを負わないことが、次の戦いのために大切だと思うの。)

(ふ〜ん)

リールは軽い相づちをした。

(攻撃はいろいろな方法があるけど、防御は種類が少ないというか、しっかり対策すれば、相手も攻めにくいと思うの)

山田は身ぶりを入れて説明する。

(最初は防御)

顔の横に手でガードを作り、

(そして、回避)

山田は身を捻りながら、

(それで攻撃)

手で相手を切る真似をした。

(だから防具屋が先なの)

リールは少し間をおいて、

(お説、わかりました)

と答えた。リールが山田に合わせてくれただけだと思う。

あと、このかわいい二人に傷をつけたくない!たとえ回復魔法で大丈夫でも嫌!という山田の感情もあった。

しばらくして、古くて、頑丈で、大きな戸のある防具屋兼武器屋についた。

(ご主人はいるか?)

山田は中に入り、呼びかけた。

店の中には、鉄製や鋼の鎧や両手剣、さまざまな形の兜、鎖帷子、鉄扇、片刃件、槍、モーニングスターなど、武骨な武器、鎧がところ狭しと並んでいた。

(いらっしゃいませ。

グリーの店にようこそ。

ここでは武器、防具、各種、いろいろ取り扱ってますぞ。何かお探しで?)

筋肉が鎧のようについている、小柄な店主が現れた。

(いい店だね。品揃いが信頼できそうだ)

山田はそう言いながら、店の中を見渡す。

派手なものはないが、よく磨かれた武器、防具が、いい感じで置かれている。

ちょうど店主のように、ありのままの力を素直にあらわしている。

(お客様の鋼の鎧は、いい鎧だ。

うちの鎧と同じくらいだ。

デザインを変えるなら、いろいろとお勧めするが、その鎧より防御力の高いものは、今はうちにありませんぜ。

武器なら、少しお勧めできるものがありますがね)

店主が何か吹っかけてくるかと思ったが、そんな気持ちはないようだ。

この店は信頼できそうだと山田は思った。

サーヤはもの珍しそうに防具を眺めて、リールは変わったデザインの兜をおもしろそうに見ている。

(今日はここにいる聖職者と魔法使いの防具をみにきたんだ。この店で一番のものを見せて欲しい。)

店主は山田に言われて視線を外すと、

(サーヤとリールじやないか?この村に来た戦士が探していた一番の聖職者と魔法使いはサーヤとリールになったんだな。)と大きな声で言った。

(そうなの)リールは笑いながら答え、サーヤはうなずいた。

幼いころから二人を知る店主は、

(そうか・・・、もう、そんな年になったか・・・)


と、しみじみとつぶやき、遠くを見た。

しばらく、沈黙が続く・・・。

(わかりました。二人に最高の防具を持って来るんで、ちょっと待っててくださいな)

そう言って、店主は店の奥に入っていった。

(私たちにこんな大きな防具が着れるかしら?)とサーヤ。

(できれば、かわいいのにしたい・・・)とリール。

(そこに飾ってある術者の防具みたいになると思うけど)

山田は厚手の皮に鎖帷子を組み合わせたような、茶色と白の武骨なデザインの防具を指さすと、リールは大いに、サーヤはほんの少しだけがっかりした様子をみせた。














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