第9話冒険の旅の前には、ちゃんとした準備と訓練をします。その1

宿屋の親父にお金を払い、宿屋の片すみで、3人で食事を取った。

食事を取りながら、山田は考えていた。

山田が転生前の世界では、特に山田がいたブラック企業では、訓練はなく、説明はなく、マニュアルもない。配属のその日から、その業務のプロとされ、誰も教えず、見よう見まねで作業をし、多くの人が疲弊し、倒れていった。

ブラック企業の上司たちに現状の間違いを指摘すると、暗に陽に嫌がらせを受ける。

この世は、上司にただ従順なものしか生き残れないことを山田は知っている。

だが、山田はサーヤとリールの上司ではなく、仲間であり、対等だと思った。

俺は、あれ(転生前の企業)とは同じになりたくない。

そこで、山田なりに、冒険のための会議をすることにした。


3人とも食事を終えて、お茶を飲む。

(サーヤ、リール、ちょっと、聞いてくれる?)

山田は自分なりの冒険に旅について説明を始めた。

(この冒険の目的は、村の安全を確保するため、北の森のキングスケルトンを倒し、森を除霊することを目的とします。)

リールが早速質問をしようとしたが、(質問は最後に聞きますので、ちょっと待ってね)

と伝えて、先を続けた。

(この冒険のパーティは、サーヤとリールと俺の3人です)

リールはわかってるという顔をした。

(サーヤとリールの二人は、天性の素質があり、かなりレベルが高いけれど、冒険の経験者であり、年齢も一番上の俺がリーダーをします)

リールはふむふむと相づちを打った。

(魔物を倒すと、経験値とお金がもらえます。経験値はレベルに応じてもらえますが、お金はそうではありません)

サーヤは黙って聞いている。

(お金は、経費を差し引いて、皆で均等に分けることにします)

(あら、リーダーが多くとるんじゃないの?)とリールが言う。

山田がこの世界でやりたいことにお金はあまり必要ではない。

転生前のように、住宅ローンが残っているわけでもなかった。

(戦いが始まれば、3人とも命懸けの仲間だから、3等分でいいんじゃないかなと?)

サーヤとリールは顔を見合わせて、リーダーがそう言うなら、それでいいわと言った。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る