第5話「調査」

 Side 冴葉 ヒカル


 マジックメイル・セイヴィアの装着をしながらソフィアさんやアイヴィスさんに稽古をつけてもらっていた。


 セイヴィアの動作はとても軽い。

 思った通りに動く。

 まるで超人になったかのようだ。


 それでも負けるのは自分が未熟だからだろう。

 前回の実戦のような、全てが手に取るように分かる全能的な感覚にはならなかった。


 二人の交代制での戦いである。

 時折生身での剣の訓練も行ったり体力トレーニングとかも監督してくれる。

 そして夜は勉強と言う感じだ。


 こうして稽古をつけて貰っているのはここで生き抜く術を身につけるためでもあるが、場の流れで宣言されたロザリア・ローゼスとの決闘が控えているからだ。(学園長もノリノリで承諾したらしい)


 まさにラノベテンプレ展開である。


 だがこのまま場の流れに身を任せてもいいのかと言う気持ちもある。

 元の世界が正直言うと恋しい。

 

 一度ソフィアさん達にワケを話して自分が異世界にやって来た場所に訪れてみようかとも思った。


 

 学校の終わりの時間帯。


「まあ当然ながら二人がついてくるんですね」


 ソフィアさんとアイヴィスさんの二人が付いてきた。

 二人は自分の監視のために付いてきたらしい。


「いや~こう言うのってワクワクするじゃありませんか」


「ソフィアはこう言うが先日の一件もある。万が一に備えておくべきだ」


 との事だった。

 ここはアイヴィスさんの言う事が正しいのだろう。

 前回の襲撃は明らかにおかしい部分があるらしい。

 そのおかしいのは何なのかまでは分からないがそれを調査する一環のためにも自分についてきたらしい。


「それはそうと元の世界に戻れたらどうするんですか?」


「そこまで考えてないよ・・・・・・とにかく厄介事にはなりそうだね」


 警察の事情聴取よりか、両親はどんな反応するのか恐かった。

 それよりも二人とも――今は自分も剣をぶら下げているので銃刀法違反で逮捕されるのでは?

 もしかするとプロのコスプレイヤーみたいな感じで押し通せるかもしれないが。


 ともかく初めて異世界に出た場所へやってくる。



「古い教会か・・・・・・学園にこんな場所があったとは」


「なんだかムードがありますね」


 古い教会に辿り着いた。

 今にして思うと内部は埃っぽい感じはなく、誰かが定期的に清掃しているのか?

 そんな感じだった。

 

「今迄知られてなかった理由が分かった」


 と、ここでアイヴィスさんが壁に描かれた魔方陣らしき物に向かっていった。


「隠蔽の魔方陣ですね。それもかなり高度な術式です」


 ソフィアさんが付け足すように解説する。


「隠蔽の魔方陣?」


「それも一つや二つではありませんね。かなり高度な術者が計算して刻んだ物だと思われます」


 ソフィアさんは周りを見渡しながらそう言い、アイヴィスさんは「それが何らかの形で効力を失っている感じだな」と付け足すように言った。


「気がついたら自分はこの場所で倒れ込んでいたんだよ」


 と言って祭壇の方を指を向ける。


「先程から強大な魔力の反応が感じられるんだが・・・・・・」


 アイヴィスさんはそう言い、


「そうですね。ここは一旦退いた方がよろしいかと思います」


 ソフィアさんも強い調子でそう言った。


 ソフィアさんの言う通り俺も退散しようかと思った直後――


「え――」


 眼前が目映い光に包まれた――

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