第4話
「VRゲームを再現する?」
『端末も仮想空間も課金システムも用意できます。ひたすら搾取されて枯れる運命のコアになるのは嫌です!』
「でも、借金はどうします?」
『私だけいれば十分です。しかも御二方はテイマー。妖精魔法に治癒魔法もあります。スキルカードと装備カードとアイテムカードは売り払ってよろしいかと。ギリギリだと尚更買い叩かれるので、早く動いたほうがいいです』
「んー。まあ、駄目だったらコアを売ればいいし」
『そうしなくて済むように全力でサポートします! 一作目は私が用意するので、お願いします!』
というわけで、アイテムを全部売って借金の返済に充てた。ひどく買い叩かれたが、コアのサポートもあって、なんとか借金は返せた。あの時と同じ、マイハウスからの再出発だ。
そして、VR装置第二弾! と銘打って小さな会場を借りた。新たな会社も作った。
何人かの転生者と知り合いになれたので、彼らとお世話になったスポンサー、恩師などを呼んだ。
端末の腕輪を配り、後はコア武(名付けた)に任せるだけの簡単な作業。
ネットを見れば、動画で武光が作ったゲームが、大規模なオープニングイベントをしているのが生放送されていた。うう、俺も遊びたかったのに。
コア武が用意したのは、なんとキャラメイクして冒険道場を探索するだけのクッソパクリでつまらないゲームだった。そんなの直接冒険道場へ行けよって感じである。
唯一勝っているところは、ゲーム内加速が出来る所か。
ゲーム内は24倍速なので、展示時間も短い。
「すげぇ! この技術があれば、コアさえあれば誰もがゲームを作れるってことじゃねーか!」
声を上げたのは転生者だった。
「ああ、すげぇよ、すげぇ! 俺達もゲーム作っていいか!?」
「こんな凄いことを思いつくなんて……さすがよ」
次々に賞賛して、俺や武光を勇気づけてくれる。元々、転生者は全員クリエイターである。
しかも、コアの扱いについては慣れきっている。
ライバルが増えるのは大変だけど、別にそのまま盗られるわけではないのだ。
俺と武光は快く応援した。
「会社でクランを作らない? 助け合うネットワークを作るのよ」
「いいな! 皆で旅行とかどうだ? 費用は皆、俺が出してやんよ!」
「すげー太っ腹ー!」
「私も参加して良いんですか?」
「武光さんが参加しなくちゃ意味ないじゃない! 貴方がVRゲームを作ったんだから!」
そして、その日のうちに話が進み、ダンジョンコアネットワークという会社連合が爆誕した。
加入条件はコアを持っていることである。
これなら俺の会社を乗っ取ったインテリなあいつらが入って来れなくて安心だ。
ダンジョンコアネットワークの初めての仕事は、各々のゲームを公開するゲームフェスティバル……ではなく、各社合同の親睦旅行だった!!
ダンジョンコアネットワークのホームページに、燦然と参加要項が輝く。
『ダンジョンコアネットワーク主催 合同旅行参加要項
1.ダンジョンコアカードを持っている事。
2.必要な荷物・なし。手ぶらで来ていいよ!
3.みんなには内緒だよ!』
俺達は、一気に浮上できたのだった。
ニュースでも、それは扱われた。
『トップ冒険者達によるセレブ旅行が行われる事がわかりました。行き先は秘密。気になる〜!』
『結構たくさん行くんでしょ? ダンジョンコア、意外と持ってるんですねぇ』
『こういうのって、申請とかしなくて良いんですか?』
『今の制度だと、売り買いしなければ申請は不要なんですよね。とはいえ、ダンジョンコアにはいろんな使い道があるのだから、どんどん活用して欲しいと思いますが』
『ダンジョンカードを持っている人たちの集団かぁ。危なくない?』
『一応、カードの確認は旅行前に行われるらしいですよ。ただし、一枚のダンジョンコアカードにつきおひとり様だって』
『この会社連合、ゲーム会社なんでしょ? ダンジョンコアをゲームに使っちゃうなんて、もったいない気もしますね』
『カード化解いたらダメなんて、酷くないですか? ダンジョンコアなんて、一つ持ってるだけでもすごいのに』
コメンテーターが議論を交わす。
いや、幾つもコアを持ってる人対象だからね。カードが参加要項ってのは上手い手だと思う。
話題になった結果、たくさん人数が集まってしまった。
いや、マジで沢山来たんですけど。
ゲンナリした顔の主催者がそれでも笑顔を作る。
「僕、頑張った!」
「私も頑張ったぞ。フェスティバルは参加出来ないが……」
武光の所は武人さんと武流さんも参加か。約束守ってくれるかな?
武光だけだったなら、秘密なんて全然見られて良いんだけど。
うわ、乗っ取り仕掛けた会社の人も来てる。なんて厚顔無恥……。
おっと、連絡が。
『今から選抜なんて無理だし、後で仲良い奴らでも旅行企画しよーぜ』
ありがたい。
ギスギスするのも勿体無い。今は楽しむ事を考えますか。
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