9 ずっと、君と

 あの日から、私たち2人は一緒に登校し、いつも一緒にいる存在で、周りの人からは公認カップルと認定された。


 有留ちゃんにも「よかったよかった!」って言われて、柚芽ちゃんには「分かってたけどね!」聖奈ちゃんには「お幸せに!」美桜ちゃんには「男運いいねぇ!」って言われた。


 もちろん、ファー――をしたことは、誰にも話してない。

 まだお母さんとかにも「付き合ってます」とは言ってないけど、うちのお母さんは勘がいいから多分わかってると思う。




 ――――っていうのが、7年前の話。

 私たちは、今日から晴れて大学生!


 有留ちゃんたちとは、今でも仲良くしてるよ。

 星鑑賞の日課を7年間無くさなかった私たちは、ちょっと遠いけど、天文学に力を入れてる大学に2人で入りました!


 試験の日のために、一日20時間くらいは勉強したなー。あの苦労が実って良かったよ!


「わー、すげー! 紗弥、俺たちが憧れてる会社の望遠鏡だぜ!」

「わっ、ほんとだ! すっご‼ 流石だね!」


 私たちは、大学を卒業したら、起業して、世界一見やすい望遠鏡を作ろうって話をしてるんだ。

 宇宙飛行士は、目が悪くなったからムリだーって本人が言ってたから、そこからその夢に変えた。


「あ、紗弥! ひっさしぶり!! 真夜くんも!」

「堀川さん。2年ぶりだね! 前澤も」


 遠くから声をかけてきたのは、7年前よりだーいぶ髪の毛が長くなってる、


「波香‼ と篠原くん!」


 波香の彼氏・篠原くんが、天文学に興味があったらしくって、その関係で星を見てたら、波香、ハマっちゃったんだって!


 それから2人で天体観測部に入ったりして、4人でこの学校入ろう、って決めてたから全員合格で良かったよ!


「紗弥…今日は、言いたいことがあって…」

「ん?」


 波香と篠原くんが、心なしか恥ずかしがってる?


「せーのっ」

「「じゃじゃーん!!」」


 そう言って2人が見せてくれたのは…それぞれの左薬指にはめられてる、指輪っ⁉


「へへ、ゴールインしちゃいました!」

「2人とも、応援ありがとな!」

「えーっ⁉おめでと!」

「すげー!マジおめでと!!」


 18歳にしてゴールイン!

 いつも元気な篠原くんと、噂話好きでなんでも欲しくなっちゃう波香のカップルだと、こういう早めのゴールインってあるもんなのかな?


「前澤も頑張れよっ」

「紗弥、頑張れっ!」


 そのために今結婚指輪見せましたか?ってくらい意地悪な顔でそれぞれすごい量ツンツンつついてきて、物理的にも精神的にもくすぐったい。


「俺たち、じっくり派だから。なっ、紗弥?」

「じっ…」


 何よ、そのちょっと怖い言い方!


「まぁ、そうだけど」


 結局は、私が口を尖らせて同意する始末。


「さっ、行こ! 入学式!」

「呼名された時、手の甲を前にして左手挙げるかー」


 ゴールインした人たちは、余裕が違う。

 私もいつか、真夜とこんな感じになれたらいいな。


「紗弥」


 前で波香たちが仲良くしてる後ろで、真夜が囁いた。


「何?」

「いつか分かんないけど、必ずあんな感じでラブラブになろうな」



 付き合っていくうえで、少しずつ、真夜の性格が変わっていってる気がする。


 でも、その変化が自分の存在のおかげで、それを一番間近で見られているって事実のほうが嬉しいかな。


 これからも、ずっと、君と、幸せでいられますように。


 天文学部のプラネタリウム室に、静かに願った。

                             ~Finish~

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