7 親友の初壁ドンと誤魔化し方

「おーいおーい!」

「うわあっ!」


 いきなり有留ちゃんと柚芽ちゃんと聖奈ちゃんと美桜ちゃんの四人に囲まれる。


「な、何……?」

「ねえ紗弥ちゃん、付き合ってるの?」

「え…?何の話?」

「まあ、とりあえずこっち来てよ!」




 改めて有留ちゃん以外の三人を紹介するね。


 柚芽ちゃんは、お姉ちゃんがいっぱいいそうな可愛い系の少女。ツインテールで、朝顔ヶ中学校可愛いトップの子だよ。実際に証明されてるんだ。私とは格が違う…。

 なんでこんなグループに入れたんだろう、って今更思う。


 聖奈ちゃんは、肩までの髪で、学級委員のしっかり者。朝顔ヶ中学校美人シスターズの、二位! 聖奈ちゃんが可哀想だよ、順位言っちゃうと…!


 美桜ちゃんは、さらさらの黒髪が腰まである、美少女。朝顔ヶ中学校美人シスターズの一位! 成績も学年一位で、学級委員は投票で争って一票で美桜ちゃんが負けちゃって。


 まあ、結果をまとめると、すごい子しかいないグループに入っちゃった、ってことですよ。あーもう嫌だ。変な目で見られてるんだろうな。でも、四人と仲良くなれて良かった。




「おーい、紗弥ちゃん?聞いてる?」

「っああごめん、考え事してたんだ。それで?」

「…完ッ全に言っちゃうけどさ」


「「「「紗弥ちゃんって前澤くんと付き合ってるの?」」」」


「ッッッッッッッッッえええええええええええええ⁉⁉⁉⁉⁉⁉⁉」


「「「「ううううううううううううううううううるさい‼」」」」


「…って、紗弥ちゃん話逸らそうとしたでしょ。で?」


 そこからは有留ちゃんに無言の圧をかけられて、後ずさる。

 そしたら有留ちゃんが近づいてきて後ずさる、の繰り返し。


 ついに屋上への階段の踊り場の壁まで追い詰められてしまった。

 ドンッ

 ついに壁ドンをされてしまった。


「ねえ、紗弥ちゃんって前澤くんと付き合ってるの?」


 …ここまで全身で圧をかけられると、正直に答えるしかない。


「…付き合っては、ないよ」

「『は』、って何?」

「…わ、わわわわわ私がっ、そのっ」


 …真夜のことが好きだからっ、なんて言いたいけど言えないけど隠したくない‼


「…真夜のことが、その、好き、だから?」

「なんで疑問形やねん!」


 そこからは和やかな空気になって、みんなの恋バナをしたり、波香に電話をかけたりして、友達紹介とかで、一日が終わった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る