3 突然の誘い

 入学式の後の、学校の帰り道。

 緊張した顔も、グループに入れて皆が綻んでいる。


 派手目のグループに入れて、しかも真夜も同じクラス!

 いい感じ。

 私も一応みんなと一緒になれてるかな。


「どう? 紗弥、学校楽しかった?」

「楽しかったよ! しかも有留ちゃんが面白くて!」


 吉住よしずみ有留うるちゃんは、同クラの女の子。

 派手目グループのリーダー的存在かな。

 とにかく明るくて、すごい空気を纏ってるんだ。分かる?(分かんないか)


「有留ちゃんって、吉住?」

「それ以外に誰がいるの」

「いや、他のクラスとか学年にいるのかなって思った…」

「んなわけないでしょ! 始めて行った中学校の一日目、他のクラスとか学年に友達できるわけないでしょ! んもう!」


 私は大袈裟に呆れた顔をしてみせるけど、ホントは全っ然呆れてないんだからね!


 …って、心の中で言っても、幼馴染だからって真夜は私の心の中を読める訳ではない。

 読まれたら滅茶苦茶恥ずかしいし…。


「…なあ、紗弥」

「ん?」


 何故か真夜が恥ずかしがってる。

 恥ずかしがってる真夜を見るのは珍しいし、ちょっと…可愛い。

 って口に出すと、ぷんすか怒るだろうな。

 言いたくないし。


「…今日から、夜、俺ん家のベランダで星見ねえ?」

「…え?」

「ほ、ほら、さすがに最近飽きてきたんだよ、一時間も星、一人で見んの。見なかったら悠夜から『今日は星見ないの? ならゲーム付き合って!』…って言ってくるんだよ。それなら星見てるほうがマシだって。で、でも、一人じゃやっぱつまんねえから…」

「分かった」

「え…?」

「何時に二階から顔出せばいい?」

「え、えっと、22時」

「オッケー」


 そんな会話をしていたら、いつの間にか家の前に着いていた。


「じゃあ、また22時ね」

「…あ、ああ」


 バイバイ、そう言葉を交わして、私たちはそれぞれの家へ入って行った――――。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る