33
side.Akihito
「上原サン…?」
「よぉ、ちっと話あんだ。」
優しくしないでくれと、泣きながら訴えた保の。
矛盾なお願いに我を忘れ…
二度目の罪に溺れ、とうとう一線を越え身体を重ねてしまったのが、
昨日の事。
あのまま気絶してしまった保の身体を清め、
目覚めるのを待ったが…
それは叶うことなく。
保の母親がいつ帰って来るかも分からないし。
万が一鉢合わせた場合、この状況をどうしても説明出来そうになかったから。
とりあえずメモ書きを残し、
去り際に眠る保の額に、衝動に駆られキスをして…
その場からまた、逃げるみたく立ち去ってしまった。
家に帰ってからも、
なんだかモヤモヤして落ち着かず。
元々性欲は強く、昔は盛りまくって好き放題ヤッてたもんだから。
久し振りのセックスで感化され、
物足りないのだと、身体が妙に疼いちまって…
何気に保を清めながら欲情して1回、
家に帰ってからも、行為を思い出してもう1回…
保をオカズに、
自身を右手に委ねる暴挙にまで及んでいた。
掌に吐き出した欲の塊を見つめながら…
イカれちまいそうな思考の中で、自らを問い質すものの。
独り考えた所で、
この俺が、まともな答えなんざ導き出せるハズもなく…。
成り行きとはいえ、保を置き去りにしてしまった事を後悔しながら。
長い夜は、あっと言う間に明けていった。
途方に暮れた俺が、
迷った末に行き着いたのは……芝崎で。
こんな事を後輩で、しかもかつての恋敵だった芝崎に話すのには抵抗もあったが…
もう形振り構ってらんねぇ状況だったから。
朝早くから下駄箱前で、ヤツが来るのを待った。
「…で、オレに話ってなんスか?」
コイツはどうやら、水島に関する話だと勘違いしてるようで。少し緊張気味に構える。
俺は空き教室の窓際に立ち、真顔で外を眺めながら。
ゆっくりと口を開いた。
「お前、水島とヤッたのか?」
「………へッ…?」
致し方ない事だが、思考の追いつかない芝崎は目を丸くし、間の抜けた声を発す。
「バーカ、わかんだろ?セックスだよセックス。シたんだろ?」
質問が質問なだけに、直球で問うと恥ずかしそうに言葉を濁した芝崎だったが…
「まぁ、そのっ……ハイ…。」
「ふ~ん…童貞の割に早かったな。1回でちゃんと出来たのか?」
「なっ…!!」
反応がいちいち派手で面白い芝崎。
まあ、可哀相だし。
からかうのはこれくらいにしとくか…。
「芝崎。」
「…?」
芝崎を促して、窓の外を顎で示す。
そこからは丁度正門が一望でき、時間的に登校してくる生徒の姿が見て取れた。
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