22
side. Akihito
「休み…?」
「あ、ああ…佐藤なら、今日も来てないけど…」
音信不通になったアイツは、
今日も学校には来ていなかった。
俺の誕生日の後。
アイツは何事もなかったかのように、俺を誘ってきた。
誕生日の一件は…
どうやら酔いつぶれ、何も覚えてなかったらしく。
中途半端してしまった誕生日会のお詫びがしたいのと、改めてプレゼントを贈りたいんだと…保の方から言ってきたんだが。
保が覚えていない事に、正直安堵した自分がいた。
いくらほろ酔い気分っつっても、ほぼシラフだったこの俺が。雰囲気に飲まれ、あんなコトをしちまうだなんて…
どうかしてたんだ。
動揺を悟られねぇように、保の誘いを了承したのは良かったんだが…やっぱり俺だけ意識しまくりで。
平静を装えば、それが逆に不機嫌そうに見えたのか。
アイツがしょんぼりし出すもんだから。
気を遣わせねぇよう、なんとか平常心に努め。
いつも通りを貫いたんだ。
けどアイツはあの日の事がなくても、常に俺を意識してるみたいだから。
ことあるごとに顔を真っ赤にしては、あたふたし出すし…
不覚にも可愛いだなんて思ってしまった俺は。
いけないと知りつつも…気付けばアイツに気を持たせるようなコトばかり、してしまっていた。
タイムリミットなんて来なければいい。
柄にもなく、誰かとずっとこうしていたいだなんて思ったのは初めてで。
保との時間はあっという間に過ぎて行き…
気付けばもう、夕方になってた。
明日から新学期。
コイツは真面目なヤツだし、そろそろ帰してやらねえとって…
それでもやっぱり、何処か物足りなさを感じてると。
隣を歩く保も元気なく俯き…分かり易いくらいに帰りたくないって顔して、黙り込んじまうもんだから。
「メシでも食ってくか?」
後少しくらいならって誘惑に負け、
次には自ら延長を申し出てた。
そん時ちゃんと帰してやってれば。
保をあんな風に傷付けなくて済んだってのに、な…
大通りから外れた、
かなり寂れた感じのファミレスを目指していたら。
「あれぇ~お前、上原じゃね~?」
間の悪いことに…中学時代、ちょっとだけ連んでいた奴らと遭遇してしまった。
元々、群れるのが嫌いだった俺だから。
コイツらともすぐそりが合わなくなっちまって。
別に友達でもなかったし。
自然と離れていったんだが────…
特に声を掛けてきたコイツ…鼻ピアスの下品な男、
当時好きだった女を俺に寝取られたとかで、勝手な因縁を付けてきやがって。
常に敵意剥き出しで、俺へとよく絡んできてた気がする。
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