3




side. Tamotsu







「お前…」


「えへ…おはよ、上原君っ!」



来ちゃいました──────上原家へ。








ピンポーン…



これを押すのに実は30分以上費やしました。

電子音が鳴り響いた瞬間、身体はもうガッチガチ。



でももう押しちゃったもんね…。







「…どちらさま~?」



ガチャリと勢い良く開いたドア。

オロオロしてたら、ちょっとぶつかりそうになり。

蹈鞴たたらを踏んで、その場はどうにか堪えた。







「あっ、えと…あのっ…」


「…誰だ、アンタ?」



威嚇するような声で現れた人物は…

見た目上原君の一回りくらいサイズダウンしてて、

髪の色が少し茶色めの短髪なんだけども。


その声質とか口調、獲物を捕らえるつり上がった目尻とか…上原君の面影そのまんまであって。


ついつい身構え、緊張が走る僕。




えと…もしかして弟くんとか、かな…?


ジロリと爪先から頭の天辺まで品定めされ、

声も出せず固まっていると…






「なにお前?あ~…もしかして兄貴の─────」



そうです友達なんですって、名乗ろうとしたら…






「パシリだろ?」


「……チガイマス。」



そうだよね~普通そうなるよね…。

僕って見た目まさにそれだし、上原君と友達って方が…まず無理あるよね。







「はあ…?じゃあなんなわけ?」


上原家って、みんなオレ様気質なんだろうか?






「そっその、友達です!僕…さ、佐藤って言います…。」


「え………マジかよ?」



ハイと小さく頷くも、訝しげにまたジロジロと睨まれるからいたたまれない。


とりあえずご本人を呼んで下さい…。









「………ちょい待ってろ。」



漸く理解して下さったのか、奥へと引っ込んで行く彼。


やっぱり弟くんだよね…。

サイズダウンしてるだけで、見た目も性格もそっくりだし。




そわそわしながらひとり玄関先で待っていたら、

すぐに威勢良く足音が迫ってきて─────…






「おまっ、保…」


朝の10時過ぎ、夏休みだからまだ寝ていたようで。


灰色のハーフパンツのみで上半身裸…。

不意打ちにも、しなやかな肉体美の上原君と対面を果たした僕は…体温が軒並み急上昇した。



そこで冒頭に、話は戻るのだが…








「えへ…おはよ、上原君!」


精一杯、平静を装って挨拶をかます僕。





「えへっ…じゃねぇよ、何だよ急に…」


迷惑って言うよりは、驚いてるって感じの上原君。


良かったぁ…アポなしだったから、ドン引きされるんじゃないかって、かなり不安だったんだけど…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る