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side. Tamotsu





「……もうすぐ夏休み、だね。」


会話も途切れ、

まったりとしていたところでぽつりと呟く。





「……なんだよ?」


横目でそう問われたけれど。




「ううん、別に…」


「…………」


僕が首を横に振れば、上原君も黙ってしまった。

 






学生なら誰もが心踊らす夏休みも、

恋する乙女状態な僕にとっては苦痛でしかない。


だって、2ヶ月もだよ?

そんな長期間、上原君に会えないなんて…寂しすぎるに決まってるじゃん。



ただでさえ僕らは既に3年で。

後ちょっとしか、学校生活も残されてないのにさ…。




そんな僕の心情が、ばっちり駄々漏れてたのか…

すぐに隣りから大きな溜め息が漏れ聞こえた。







「……別に構わねぇけど。」



そう上原君は言うのだけど、どういう意味かな?

首を傾げ見上げたら、照れたよう目を逸らされて。






「…遊びてえんだろ?夏休み。携帯知ってんだし、よ…。」


「え…いいの?」



キラキラと期待に満ちた眼差しを向け、念押しすれば。






「…別に、バイトなけりゃ暇だし?」


「バイト?」


「親戚んとこにな、長期休みとか忙しい時とかに加勢すんだよ。」



なんだか無理強いしたかなぁ~と、申し訳なさそうにしてたら。気にするなと優しく笑う上原君。



やっぱり気を遣わせちゃったみたいだけど…

ここは甘えてもいいんだよね?






「じゃあ…約束だよ?絶対だからねっ!」


念のためハイッと小指を差し出すと、ピシリと固まる上原君。





「おまっ、俺を誰だと…」


有無を言わさず手を取り、上原君の長い小指にしれっと絡める。


自らやっといてなんだけど、

触れた箇所がやけに熱く…じんじんしていた。







「ほら、指切りげんま~ん…」



…指切った!と歌いきり手を離せば、またも赤面する上原君。


ふふ、すぐ照れちゃって、可愛いな~もう…。

と…思ってた事が、ついついぽろっと口に出していたようで。


すかさず頬をぐにっと抓られてしまった。







「いひゃいよ~上原君!!」


「うっせ…。」



今はこんな些細な日々が、

幸せで仕方ないんです。

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