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side. Akihito





水島が芝崎と距離を置いてから、

俺は空席と化したその場所を…独占した。



それはヤツに対する牽制と、

弱ってるアイツに付け入る…邪な心によるもの。






今までこんな朝早くから、

自主的に学校へなんざ来たコトねぇのに。


ここまで他人に尽くせる自分が、なんだかむず痒い。








芝崎がやってきたこと、

それ以上に、水島を甘やかしてやりたい。


でなきゃ先を越された分の差は、

いつまで経っても取り戻せはしないんだろう。




むしろ、もう手遅れかも…な。








俺が傍にいる事で、

安心してる水島がいる。


俺が芝崎を真似る事で、

苦しんでる水島もいる。




俺の存在を必要としながら、

気持ちはずっと自ら去っていった男のもと。




それでも離れられないのは、


惚れた弱味…と言うヤツなんだろう。








慣れない早起きで削った睡眠時間を補うため、

授業を抜け出し屋上へ向かう。



そこは俺の庭。

誰もがそう認知しているから。


侵入者はいないハズだったのに─────…








「…高校生が授業サボってタバコとか、いいの?」



は突然、

俺の領域に足を踏み入れた。







「…あ?」


本気で咎めてる訳でもなく、

世間話するみたいに声を掛けてきたソイツを。



俺はよく知っていた。




何故ならソイツは、俺が焦がれて止まない水島の、


唯一の親友…だったからだ。








「佐藤…?」


「あっ、名前…知っててくれたんだね。嬉しいなぁ…」


ニコニコと屈託なく笑い、

自然な流れで俺の隣りに腰を下ろした佐藤。



下の名前までは知らない。







「僕、佐藤さとう たもつ。クラスは6組だよ。」



(…んだよコイツ。絡みずれぇ…)



なんとなく、コイツが俺を警戒してたのは知っていた。水島の所へ来る度に、俺の事を気にしているようだったからだ。



水島からも、ある程度は聞いているんだろうが…。






見た目ひょろっひょろのチビだし、どう見ても無害そうだったから。特に何かするでもなく、放置しておいたが。



きっとコイツは…親友の水島をイジメていた俺が、

いきなり掌返して、つるむようになったもんだから。


探りでも入れに来たとか…そういうコトなんだろう。








「最近、綾ちゃんと仲良しだよ、ねっ…?」


ホラきた、予想通り。

隣りで体育座りして、コンクリートの地面を見つめながら、


佐藤 保はそう、切り出してきた。






「…ああ。」


正直面倒臭いと思いつつも、

水島のダチなんだからと穏便に返事する俺は、内で溜め息を吐く。



次に発せられる台詞はきっと、警告。

コイツはかなり水島に懐いていたから、ダチとして心配しているに違いない。



チビの癖に、ひとりで俺のところに来るなんて。

意外と度胸あるなとか、密かに感心していたのだか…

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