第16話 対死にかけの意思Ⅲ
「……ッ!何をしたのッ!」
僕は死にかけの星の意思を睨みつける。
「我が悲願を叶えたのだよ。我が同胞」
陽向の姿を被った死にかけの星の意思は馴れ馴れしく僕の名を呼び……口を開く。
「もとよりこの女は我の器として成長させていた器に過ぎぬのだ」
「……何?」
「勇者たるコヤツに我の膨大な力を注ぎ込み、徐々にこれを我の色へと染めていき、我という強大な意思を受け止めても壊れぬ肉体を作り、ただの不安定な精神体から肉体を得た一つの生命として復活する。それが我の計画だったのだよ」
「……」
僕は死にかけの星の意思を聞いて沈黙する。
「陽向が汝のデメリットによる影響を受けなかったのは我の力をその身に宿していたからにほかならない。汝の力を前に、何の影響もなく生きていられる存在など存在しないのだよ……汝がこの娘を助ける必要はない。こんな無益な争いは辞めぬか?別に我は生きてさえ入れば良い。今、我の悲願は達成し、これ以上望むものはない。どうだ?」
死にかけの星の意思はそんなことを僕に向かって話し始める。
「何を……世迷言を。僕が陽向を助けるのは約束だからだ。別に僕のことを覚えていてくれるからなんかじゃない」
「何を言うか。孤独に飢えた汝が。汝はこの娘のことを好いていただろう?己のことを覚えていてくれていたこの女を」
……。
…………。
「は、ははは」
死にかけの星の意思の言葉。
その言葉は……僕の中にこれ以上無いまでにストンと落ちた。
「ハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ」
僕は笑う。
なるほど。なるほど。なるほど。
「実に簡単なことじゃないか。うん」
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