第7話

 土曜日。

 アルファが仕事に追われ、学校は休みとなって陽向が暇になり、曜日感覚が崩壊している引きこもりニートにとっての平日。

 そんな日に。


「亜蓮ーッ!!!」

 

 自室からリビングの方に陽向がやってくる。

 いつもは自堕落に、起きてくるのがお昼ごろになる陽向が元気よく僕の名前を呼ぶ。


「ん……?」

 

 徹夜でゲームをしていた僕はソファーから視線を上げ、元気な陽向へと視線を向ける。


「僕に一体何の用?」

 

「今日!デートしに行こ!」


「断る」

 

 満面の笑みと共に告げられる陽向の言葉を即答で断る。

 徹夜で行っていた僕のゲームは未だ切りの良いところにまで来ていない。陽向とのデートよりもゲームの方が重要である。


「……」


 僕の言葉を聞いた陽向の笑みが凍りつき、まるで時が止まったかのように陽向はピクリとも動かない。


「……」

 

 そして、ゆっくりと……だが確実に陽向のその満面の笑顔が崩れていく。


「は、ははは……そうだよね。そうだよね。わ、私なんかとデートとか嫌だよね。迷惑だよね……ごめんね。キモくて……視界から消えるね」


 完全に悲嘆の底へと落ちた表情を見せ、そのまま自分の部屋へと戻っていこうとする陽向。


「……」


「は、ははは」


 ……。

 …………。


「気が変わった。行こうか」

 

 僕はゲームをセーブしてテーブルの上に起き、立ち上がる。


「え?」


「んぅー!!!はぁー」

 

 僕は元気よく体を伸ばし、息を深々と吐く。


「さて、と」

 

 僕は己の視線をただただ呆然としている陽向の方へと向ける。


「それで?一体どこに行きたいの?陽向」

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