第24話
「……むー」
何故だろうか。
ものすごくムカムカする。意味がわからない。
「ふにゅー」
東京タワーの地下で大暴れし、なんか得られそうな情報をアルファが集め終えた後、僕は逃げるようにマンションの方へと帰ってきた。
「亜蓮様」
ソファに寝っ転がり、頬を膨らませている僕の名前をアルファが呼ぶ。
「何故そんなにも不満げで居られるのでしょうか?旧友が己のことを覚えていてくれた、ということは良いことではありませんか?」
「……わかんないし」
アルファの疑問に対して僕は簡潔に答える。
なんで僕がこんなにもムカムカしているのか、その理由は僕にもわからなかった。
「え?」
僕の答えに対して、アルファは驚愕の表情を浮かべる。
「むっ……」
そんなアルファの表情を見て僕はささやかな不満を覚える。
「わ、わからない……ですか?」
「うん。なんか、もやもやする。……心の中に違和感があるんだよ。不快」
僕は表情を歪め、吐き捨てる。
心の中に何か残る。……基本的にはどんな感情であってもすぐに消えるのに、何故かこのもやもやだけは僕の中に残っていた。
「本当に不快なんですか?」
アルファはまるで職質している警察官のように僕に尋ねてくる。
……。
「不快、とはちょっと違うかも?」
ゲームで欲しいキャラ手に入らなかったときや、上手く行かなかったときの不快感とはまた違う何かが僕の中にある。
「そ、それは……」
そんな僕の言葉を聞いたアルファが少し悩むような表情を浮かべながら口を開く。
ピンポーン。
その瞬間。
いきなりチャイムの音が鳴り響く。
「……?」
「……ッ!?は、はや……」
一体こんな時間に誰だろうか?
今の時間は既に深夜である一体誰がこんな時間に来たのだろうか?
「はーい」
「あっ……」
僕は疑問に思いつつも、玄関の方へと向かう。
「ひ、久しぶり……」
「なんでここに居るの……?」
開けたドアの先に居た人物。
それを見て僕は驚愕し、疑問の言葉を口にする。
「すみません……」
何故か僕の……アルファの家についさっき別れたばかりの陽向がやってきたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます