第19話

「……何をしているのさ」

 

 僕は床に転がり、ビクンッビクンッと跳ねているアルファを眺める。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ」

 

 アルファは顔を真っ赤にし、床に転がり続ける。


「……アルファが壊れちゃった」

 

 僕は素直な感想を口にする。

 

「僕はちょっと買い出しに行ってくるね」

 

 壊れちゃったアルファに一言だけそう告げ、僕は家から出た。

 昨日の夜に色々と料理しすぎて冷蔵庫の中が空っぽなのである。 

 

 ■■■■■


「ただいまー」

 

 僕は買い出しから帰ってくる。


「って!?うぉ……」

 

 そして、玄関で土下座して待っていたアルファを見て驚愕の声をあげる。

 

「な、何をしているの……?」


「取り乱したあげく、亜蓮様に買い出しまでさせてしまい、本当に申し訳ありませんでした」


「いやいや!?大丈夫だからね!?頭を上げてよ。お金を稼いでいるのもアルファで、料理を作ってくれるのも基本的にはアルファで。僕はすっごく感謝しているんだから。これくらいは当然だよ!全然気にしなくていいよ!?」

 

 僕はそれはそれは見事な土下座をしているアルファに頭を上げさせる。ここまできれいな土下座を見せられても僕がやりにくいだけである。


「……本当にすみません」


「別に良いから!今日の夜に東京タワーの地下のほうに遊びに行くんでしょ?二人で作戦立てよ?別に全然気にしなくていいから!というか、気にする理由なんて無いから!ほら!立って」

 

 僕は土下座しているアルファを無理やり立たせて、リビングの方へと向かった。

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