第17話

「亜蓮様ぁー」

 

 とろんとろんに溶けた声を口から出すアルファがソファの上でこれ以上無いまでに僕に甘えてくる。


「うぅぅぅぅぅ。好きですよぉ!」

 

 アルファが僕に対してストレートな好意をぶつけてきてくれる。


「うん。ありがと。僕も好きだよ」

 

 僕は僕の膝の上にお酒によって真っ赤な頭を載せているアルファの頭をゆっくりと撫でる。


「ふわぁ……」

 

 アルファってばこんなにお酒弱いんだね。

 お酒を一口だけ飲んですぐこうなってしまったのだ。

 

 今日は僕とアルファでぷちパーティーを開いていたのだ。

 僕とアルファの運命的な再開から一ヶ月記念ということで。

 アルファの持っている金額も、アルファの料理の腕も天井知らず。ものすごく豪華な料理が出来上がっていた。


「……ん」 


 僕はお酒へと手を伸ばし、口に含む。

 口に広がる独特の風味と苦さ……癖になるような気もするけど、うん。美味しくないかな。

 なんでこんなものをそんなに飲みたがるのだろうか……?禁酒法が出来たときのアメリカも凄かったし……お酒の持つ魔力は謎だ。


「おいし」

 

 僕はアルファの作ってくれた料理をつまみながらアルファと戯れる。


「あっ!亜蓮様ぁー、次は東京タワーの地下にある研究所に行きましょー。きっとエキサイティングで楽しいものになりますよぉ」


「……ん?」


 東京タワーの地下の施設……?そこは前に僕が自分の血を分けてあげた友達が居るところじゃないか?

 あの人は今、どうしているのだろうか。なんか追放された、って話を聞いたような気もするけど。

 ……デブで、非健康的で、軟弱で、すぐに死んじゃいそうな奴だったから心配である。


「どうかしましゅたか?……い、嫌でしたでしょうかッ!?」


「いや、なんでも無いよ。僕のために調べてくれてありがと!楽しみにしているね」


「えっ、えへへへへ……私は当然のことをしたまででしゅ!私は亜蓮様の唯一騎士でしゅから!!!」

 

 アルファはとろけたような笑みを浮かべながら、ドヤ顔で僕にそう話した。

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