第16話

「ここも手がかり……ゼロ、と」

 

 陽向と佐倉。 

 潜入を得意とし、ありとあらゆるところにも忍び込んで情報を手に入れることのできる佐倉と勇者として絶大な力を持っている陽向のコンビは圧倒的な力を持っており、相手が長年この世の闇として君臨している組織、佐倉が元いた研究所であっても何の問題なく二人は戦うことが出来ていた。

 

「駄目か」


「そうだね。やっぱりこんな小さな施設を襲っても大したものはないね」


「大きなところに行く……私一人でも大丈夫……いや、やるんだ。何をしてでも大丈夫にするんだ」

 

「……いや、そんな根性論で行かれても困るよ。誰か人を増やせたら良いんだけど……」


「仕方ないじゃん。……頼りになる人なんて居ないのだから。私たちは二人で戦うしかない。……別に佐倉が来なくて良いんだよ?もとから、私一人で探すつもりだったから。ここまで来てくれただけでも十分」


「ここまで来て抜けるわけないじゃん。……亜蓮って人はもしかたら私のお兄ちゃんかもしれないの。私の唯一の家族かもしれないの。諦めるわけがないでしょ?私はその人のことをお兄ちゃんと呼んでいたんでしょ?」


「そう、だね」

 

 佐倉の言葉に陽向は頷く。


「たとえ、自殺への片道切符だとしても。私は行くよ。家族という存在は私の命よりも求めるべきものだから」

 

「じゃあ、これからもよろしくね」


「うん。私に任せて……。行くならどこが良いかな……。ここが良いかな」


 佐倉は組織の機関、施設の場所が全て記されたマップを見ながら頭を回す。


「……行くなら、一番最初から大きなところよね。下手に叩いて残党が集まりでもしたら目も当てられないし」


 ■■■■■


「ゼロ様のご趣味のため……!」

 

 ただ一人しかない狭い部屋で飽くなき狂気を抱えた女性が多くの情報が書き込まれた日本地図を見てブツブツと呟く。


「最高にエキサイティングで、何をしても犯罪にならない組織……やっぱりこの組織が一番良いわよね。近いところは大方回ったし……じゃあ、ここが一番良いかな」


 ■■■■■


「「次の目的地は東京タワーの地下ね」」

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