第4話
「は、ははは私はゼロ様に覚えてもらえなかったゴミクズ何も出来ないゴミクズ生きててごめんなさい今から死にますはい申し訳ありませんでした」
「し、死なないで!?ちょっ!?」
女性。
僕の言葉を聞いて崩れ落ちてしまった女性は、その表情をこれ以上ないまでに曇らせてうずくまり、絶望の表情と共にブツブツとつぶやき続けていた。
「今、役に立っているから!?家も、お金も、何もない状態だったから、あそこで拾ってもらえなかったら大変なことになっていたから!」
「ほ、ほんと?」
僕の言葉を聞いて女性はぐりんと顔をこちらの方に向けて尋ねてくる。
首が絶対に動いちゃいけない動き方をして僕の方に向いている。
「う、うん……」
僕は内心の恐怖を押し留めて、女性の言葉に頷く。
「僕ってば結構ヤバかったからね……別に飲まず食わずでも。家なんかなくても。死ぬことはないけど、あのままいるのは僕でも気分が落ち込むから」
「私はゼロ様のお役に立てた?」
「うん。立てた。立てた。だから、死のうとしないで。ここで死なれたら僕も
「うん。死なない」
なんか子どものような表情を浮かべている女性に、母性本能をくすぐられる。
「それなら、良かった……とりあえず、自己紹介してくれないかな?僕ってば全然君のこと、というかフランスでしたことなんて覚えていないから。今から4〜6年前は世界各国を巡って歩いて観光していた時期で、細かいところなんて覚えていないんだよ」
あの頃の僕は世界に存在する全ての国々に訪れることを目標に歩き回っていたのだ。
行った国で何をしたかなんて詳しくは覚えていなかった。
北センチネル島の住人と仲良くなった島民以外の人間は僕くらいだろう。
あの人たち大丈夫かなぁ……魔物との戦い方もしっかりと教えてあげたから大丈夫だとは思うけど。
「そ、そうですか。それではまた自己紹介致しましょう。何度忘れられようとも……!再び縁を繋ぐだけです!」
「……ッ」
僕は女性の言葉を聞いて息を飲んだ。
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