第2話

 ガタガタブルブル、外で震えていた僕は一つの部屋に案内された。


「すみません……こんな狭い部屋で……ッ!すぐにゼロ様にふさわしい部屋にご案内しますので」

 

 僕を部屋に上げた、長身の女性。

 彼女は何故か僕に頭を下げ続けている。

 ……狭い、部屋?

 

 ここは、僕が住んでいたアパートよりも遥かに大きな部屋だった。

 そこそこの大きさのリビングにトイレ、風呂、クローゼット、寝室。

 しっかりと様々なものがそろっていて、きれいな部屋。そこそこ稼いでいそうな独身OL女性の一人暮らしの部屋!って感じの部屋だった。

 

 リビングには当たり前のように自身の下着が干されているし、テーブルの上にもカップラーメンのゴミなどがそのままに置かれている。

 決して整理整頓されているきれいな部屋とは言えない部屋だろう。


「あぁ!?下着ッ!?……部屋が汚いッ!」


 大慌てでリビングに向かい、下着やゴミなどを片付けていく女性。


「お、お見苦しいものをお見せしました……」


「え?あ、うん」

 

 僕はしていた。

 彼女が一体何者なのか。なんで僕を覚えているのか?というか、ゼロって誰だよ。人違いじゃね?

 僕の頭の中の疑問符はなかなか消えない。疑問が尽きない。

 

「……今、暖房つけますね」

 

 体が冷え切っている僕のために暖房をつけてくる。

 僕が使ったことのない文明の機器が体を温めてくれる。


「今、お風呂を温めているところなので……って。あぁ!?わ、私が入った二日目のお風呂は嫌ですよね!?わ、私は……水道代がもったいないので二日間くらいはお湯を変えないんですけど……!?」


「いや、別に気にしないから。良いよ。ありがたく入らせてもらうよ。うん」

 

「本当ですか!?……本当に嫌じゃありませんか?」


「うん。大丈夫だよ……ありがたく入らせてもらうね」

 

 僕はお風呂の方に向かって、長身の女性が着替えとしてくれた服を持って歩いていく。

 ……何が起きているのかわからない。

 一体この人が誰なのか、なんで僕のことを知っている風なのか。

 色々とわからないことが多いけど、とりあえずお風呂に入ろう……寒い。

 悪意は無いしね。

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