第43話
全滅した敵勢力。
佐倉が全滅させた奴らが最期だったのが、この学校に渦巻いてた結界のようなものが溶けていく。
遠くの声も聞こえるようになったし、辺りの気配を魔法で察知出来るようにもなった。
僕のほんの僅かな魔力でも使える気配を読み取る魔法には既に敵の気配はない。
「終わったのかな」
「そうみたいだね」
僕の言葉。
それに陽向が頷く。
「私の気配察知に敵の気配はない……何も問題ないわ」
陽向が肩の力を抜き、聖剣を仕舞う。
「お、終わったのか……」
龍魔が緊張から開放されたこともあってか、腰を抜かしたかのように崩れ落ちる。
「ふー」
紅く光る剣を握っていた佐倉もまた、肩の力を抜いてその剣を消滅させる。
佐倉が振るっていたあの力は……いや、まさかそんなはずはない、と思うんだけど……代償だって支払われているようには見えないし……。
きっと似た何かだろう。うん。
僕は頭の中から佐倉の力に着いての考えを放棄する。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ」
地面に尻をつけている龍魔から深いため息が落ちる。
「佐倉ぁ、助かったわ。お前が居なかったらどうなっていたかわからなかったわ……本当に助かった。命の恩人だよ。……あんなに強かったんだな。佐倉ってば。びっくりだよ。俺らの中で一番強いじゃないか……本当に助かった。感謝してもしきれない」
「う、うん……」
龍魔に褒められている佐倉だが……彼女は今、すごく複雑な表情を浮かべていた。
決して小さな少女がしていい表情ではなかった。
「どうしたの?龍魔に褒められたのに虫酸が走った?」
「おい。それは酷すぎないか?泣くぞ?俺が。褒めたんだよ……?セクハラ発言したわけでも、叱ったわけでもないんだぞ……?」
僕は陽向へと視線と声を向ける……その時だった。
「……まだッ!!!!!」
佐倉が叫んだのは。
「ッ!?」
僕は瞬間的に反応する。
そこで動けたのは奇跡だった。
鮮血が舞う。
「……亜蓮ッ!?」
僕は陽向を押しのけ……彼女の代わりに剣で斬り裂かれたのだ。
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