第42話

 それからしばらく。

 僕と陽向は多くの敵を倒し、窮地に立たされていたみんなを助けることができていた。 


 僕が手塩にかけて育てた子たちが頑張って居てくれていたおかげで多くの人を助けるのに間に合うことができた。

 少し厳しいかな……?と思うような訓練をみんなに強いておいて良かった。

 

 守りたかった人を守れないという無力感を味わったみんなは、今度こそ多くの人を救う事ができたのだ。


「後は……あっちの方だね」

 

「……」


 僕と陽向はまだ行ってない……龍魔と佐倉を信じて後回しにしていた天文学部の部室がある塔の方へと足を向けた。

 

 ■■■■■

 

「「……」」

 

 天文学部の部室がある塔。そこへとやってきた僕と陽向は目の前の光景に絶句し、その足を止める。


 そこで繰り広げられている蹂躙劇を前に。


 今までのとは比じゃないくらいにいる敵勢力の人数と実力者たち。

 そんな人たちと戦っているのは佐倉だった。

 

 光り輝く…少し見覚えのある剣を手にし、絶対的なまでの力を持っていた佐倉だった。

 

 佐倉の周りは息絶えている人が多く転がっていた。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああ!?」

 

 僕は驚愕の声を上げて、叫ぶ。

 今、佐倉から感じる力は勇者である陽向以上。

 僕に、龍魔に、佐倉。

 僕たち三人が相手であっても容易く勝利できるだけの圧倒的な力を持っていた。


「あ、お兄ちゃん」

 

 僕へと視線を向けた。

 それによって集中が切れた佐倉に向かって周りの人間が一斉に襲いかかる。

 しかし。


「無駄だよってね」

 

 それらは一瞬で佐倉に滅ぼされる。

 彼ら、彼女らではどうあがいても佐倉に勝てない。それだけの戦力差がそこにはある。


「守るのは僕たちがやるから、暴れていいよ」

 

 囲んでいる人達を飛び越えて佐倉の隣へと立った僕と陽向。

 僕は佐倉にそう話し、好きに暴れるように告げる。


「わかった!お兄ちゃん!任せて!」

 

 それから程なくして。

 一瞬で敵は一人の少女を前に壊滅したのだった。


「クソッ……どこで、その」


「うるさい」

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