第41話

 酷く荒れ果てた校舎。

 窓ガラスは割られ、教室は荒れに荒らされてぐちゃぐちゃになり、そこで暮らしてていた人たちの生活用品が使い物にならなくなってしまっていた。

 この状態から元通りの生活になるには時間がかかってしまうだろう。

 

 そんな校舎の中を僕と陽向は大慌てで走る。

 少しでも多くの人を助けるために。


「急いで倒していくよッ!」


「うん!」

 

 二手に別れるようなことはしない。一人と二人ではその安全度は大きく違う。安全も考えて行動する必要があるだろう。

 ミイラ取りがミイラになるわけにはいかない。


「居たッ!」

 

 早速見つけた一人の敵。

 そいつは補給を担当しているのか、せっせとカバンに色々なものを詰めていた。

 僕はすぐにそいつを射殺し、その男の死体を漁る。


「……何もないか」


 戦闘目標。戦闘計画。今、どういう状況なのか。

 それらがメモされたものでもあることを期待したけど、そんなものはなかった。

 

「仕方ない……闇雲にやっていくしかないようだ」


「そうだね」

 

 僕と陽向は止めていた足を再開させた。

 とある魔法のせいなのか、何故かこの校舎に音が全然響かないため、戦闘音を聞いて物事を行うことが困難な状態となっていた。

 

「あれが動いていることを見るに、まだ戦闘は続いていると思う。少しでも多くの人を助けるよ」


「うん!」

 

 僕は一人でも多くの人を救うためにその足を動かし続けた。

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