第35話
空で太陽が輝く炎天下の中。
僕はちょっとした道具を使って自分の周りを快適な温度に保ちながら、外に立っていた。
「走れッ!走れッ!走れッ!血を吐いてでも走り続けろッ!無様に、ゴミのように足を動かせッ!」
学校の校庭で。
僕は声を張り上げる。僕の視線の先にいるのは校庭で必死に重りを背負って走る戦士たちだ。
彼ら、彼女らからは滝のような汗が流れている。
「動けッ!動けッ!動けッ!今ッ!この場で走れぬものが目の前で倒れ、死にかけている存在を助けることができるかッ!?否ッ!出来ぬッ!出来るはずもなしッ!」
そんなみんなに向けて僕は言葉を話す。
何故かはわからないけど、僕の言葉を聞くだけでみんなは奮起し、一生懸命足を動かすのだ。
謎である。……別に僕はサボったからって殴らないんだけどな。
「……ね、ねぇ」
「……ん?」
僕がノリノリで鬼軍曹みたいなことをしていると、陽向に声をかけられる。
「こんな事態を引き起こした敵の組織がどこにあるかを発見したから……動くように命令が下ったんだけど……」
「ん?そうか……じゃあ、行かないとだね」
僕は陽向の方から一度校庭のみんなの方へと視線を送り、
「この場には僕が居なくなるッ!その時間ッ!ここを守るのは君たちだッ!何が起きても対処できるように休息し、英気を貯め、どんな事態にでも対処するようにッ!それではッ!」
校庭のみんなの方から陽向の方へと視線を戻る。
「よし。行こっか」
「……その落差が怖いんだけど……」
「……え?」
僕はちょっと引いたような陽向の視線を前に固まった。
なんでそんな視線を向けられるの……?
「まぁ、良いや。うん。……行こうか」
「うん。そうだね」
「私は荷物の準備をしてあるんだけど……亜蓮はすぐにいける?
「ん?大丈夫だよ」
僕はそう言って腰につけている刀を叩く。
「これさえあれば十分だから」
「……絶対に十分じゃないと思うけど、君がそう言うならそれで良いや。じゃあ、行こうか」
「うん」
僕と陽向は共に歩き出した。
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