第34話
「それで?一体どんな話だったの?」
龍魔と佐倉に声が聞こえないように離れたところで僕は陽向に尋ねる。
「えっと……うん。まずはね。……今回のダンジョンの件なんだけど、人為的である可能性が高いと言うことがわかったよ」
「やっぱりそうなんだね」
僕は陽向の言葉に納得したように頷く。
最初から予想していたことだ。
「それで?一体これからどうするの……?僕に話すってことは僕に何かしてほしいってことでしょ?」
「う、うん。……そうなるね。えっと、私と亜蓮でその組織の壊滅のための先方をやってほしいって」
「……二人だけなの?」
「いや、私たちだけじゃなくて、お国の組織も一応動くみたい」
「……一応なのか」
「う、うん。一応、かな?……まだまだ日本はスタンピードによる被害を完全に抑えられているわけじゃない。今でも全ての地域で死者が発生しているから……それらの対処もしなくちゃいけなくて……その組織力の大半はそっちに突っ込まれているんだよ。私たちの援護をしてくれるのは政府の命にのみ従う国家保安調査部特務機関の一部だけだって」
「……捨て駒?」
「い、いや!そういうわけじゃないと思う……逃走経路なども用意されているし、威力偵察、という方が正しいかな?」
「なるほどね」
僕は陽向の言葉に頷く。
威力偵察ね。
……これ普通に捨て駒扱いされていない?こんな大規模な事件を起こしている組織に潜入するのが少数とか信じられなくない?普通に……。
「まぁ、良いや」
どうせ僕は死ぬことがない。
面白そうだし、ガッツリと介入させてもらおう。……ふふふ。暗躍する機会があると良いなぁ……。
「で?どこに行けば良いかとかわかっているの?」
「い、いや。まだ、かな。目下調査中だって」
「なるほど。じゃあ僕たちはまだ動かないんだね」
「うん。……私は調査とか苦手だから、そこでの働きは期待されていないから」
くくく……調査なら僕に任せてほしい。
ありとあらゆるところに潜り込むことが出来るこの僕になァ!世界で最も機密性の高いバチカンのどんなところであっても潜ることのできる僕を舐めないでほしい。
最近あったコンクラーヴェのときとか僕もそこに居て聞いていたし。
まぁ、何を話しているのか外国語で何もわからなかったけど。
置かれている書類とか、データとかなんかよくわからない言葉、文法めちゃくちゃんの日本語で何が書いてあるのかわからないけど、それらのものを盗んだり、写真を撮ったりすることなら出来る。
「なるほどね。じゃあ、みんなの強化に勤しもうか!僕たちがいなくなるならその分みんなに頑張ってもらわないとね!」
「……程々にね」
政府と接触するつもりはないし、今は教えるのを楽しんでいるので、別に潜入しなくてもいいや。
また今度にしよ。
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