第32話

 魔物を殺し続ける僕たち。

 魔物を殺す人材を育てる僕たち。

 魔物を食料とする術を見つけた僕たち。

 

「全然魔物減らないー」

 

 僕はこんがりと焼けた魔物肉を食べながら愚痴る。

 魔物肉。

 本来は人間が食べても消化出来ず、甚大な健康被害を齎すだけだった魔物肉だったが、とある簡単な方法を使うことで魔物肉を安全に食せるようになっていた。

 この魔物肉加工法のおかげで、食糧事情は大幅に改善していた。

 

「……本当にね」


「全然死体も見ないし……多分人間の死体がまも」


「辞めろッ!?言うなッ!聞きたくねぇ」


「……?」

 

 僕は現実から目を背けるような無駄な行為を強要する龍魔に内心首を傾げつつも、大人しく言うことに従う。


「多分だけど、これ。人為的だよね」


「「……は?」」


「ッ!?!?」

 

「いや……そうでもないと説明つかなくない?魔物はダンジョンに生息しているんだよ?ダンジョン以外から魔物が出てくるとか説明つかなくない?魔物を生み出す技術とかがあってもおかしくないと思うし……」


「い、いや、そんなわけあるか!こ、これが人為的だと!?こんな地獄を作り出したのが人為的な行いだと!?」


「じゃない?」


「ダンジョンだってわからないことのほうが多い!きっとダンジョンが……ッ!」


「そう?以前のテロ事件のこともあるし、人為的だと考える方が自然じゃない?」


「……こんなことをするのが同じ人間だと認めたくない……というか、世界的にもスタンピードは起こっているんだよ?全世界に影響を齎すようなことを人間如きが出来るのかな?」


「ん?別に世界で起きているのはただの『スタンピード』でしょ?別にどっかの人間がたまたま起きたスタンピードに合わせて。ってのも考えられると思うんだけど。それに、もしかしたらその人間はダンジョンを作った人と関係が……?ダンジョンを作った人はこっちに……」

 

 僕は頭を回しながら、ブツブツとつぶやき続けた。

 そんな時。


 プルルルルルルル

 

 軽快な音がこの場に鳴り響く。


「あわわ!?」

 

 鳴り響いたのは陽向のスマホだった。

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