第29話
天文学部の部室。
僕と陽向はそこへとやってきていた。
「やっほー。いる?」
「ふ、二人はいる……?」
「おー!!!ようやく帰ってきやがった!」
「お兄ちゃんー!!!」
天文学部の部室に入った僕と陽向を出迎えてくれたのは龍魔と佐倉だった。
「おぉー。無事で良かった」
僕は自分のお腹に抱きついてきた佐倉の頭を撫でる。
「お兄ちゃーん」
佐倉は甘えるように自分の頭を僕の頭にこすりつけてくる。
そんな佐倉から僕は視線を外し、龍魔の方へと向ける。
「いやぁー、無事で良かったよ」
そして、龍魔に向けて話しかける。
「まぁ、俺らはそんな簡単に死んだりしないよ」
「それは良かった……それにしても、他の部室とか全部、避難してきた人が寝泊まりする場所になっていたから、ここもそうなっているかと思ったよ」
天文学部の部室に来るまでに見た全ての部室は、避難者の宿泊先として利用されていたのだが、ここだけはその様子はなかった。
「いや、ここには色々と高価なものがあるから、と学校側が受け入れを免除してくれたんだ。部員である俺らもちょっと特別だからな。俺らは学校側からしてみても良い戦力、切り札になるからな」
なるほど。
確かにうちの天文学部の部室には色々と高価なものが置かれているからね。
パソコン部のパソコンや、吹奏楽部の楽器などよりも高価なものがゴロゴロと置かれている。一般人の目玉が飛び出すような器具や、材料などが置かれ、僕が暇つぶしに色々なものを作っている。
ちなみに最近作ったのは魔力を自動で生成し、無限に操作し、進むことが可能な宇宙船である。
「おぉー、それはありがたいね……無茶振りを頼まれるのは普通に嫌だけど……」
「それは我慢するしかないだろうな。一応特権を与えられているわけだし」
「だ、大丈夫だよ……!どうせすぐに事態も収束するよ。多分スタンピードでしょ?」
「あぁ、まだ聞いていなかったな。一体何があったんだ?……僕と陽向はダンジョンにいたから何があったのかわかっていないんだよ。スタンピードにしてはあまりにも被害が多すぎないか?」
僕は本来であれば一番最初に聞かなければならないことを、龍魔へと尋ねた。
以前、スタンピードが起きたときはここまでの被害が出ていなかったと思ったのだけど……?
それに魔物の数も異様に多くて、いたるところにいる。
一般人が異様に強くなった今の日本であれば、スタンピードくらい簡単に対処出来ると思ったんだけど……駄目だったのかな?
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