第26話
ダンジョンが紅く光り、点滅し……まるで心臓家の如く部屋全体が鼓動し始める。
「……どうするの?これ……」
「ど、ど、ど、どうしようッ!?」
明らかに普通じゃないダンジョンの雰囲気に僕たちは首を傾げる。
「……このまま転移のための魔法陣が出てくるのを待つか。走って一番上にまで登るのか二択、どっちにする?」
僕は陽向に尋ねる。
「そ……そうだね。うん。このまままここにいるのも危険な気がするし、上に上がろうか!」
「よし。そうしよう……魔物全部スルーで大疾走だ!」
僕と陽向は共に走り出した。入り口からダンジョンに出るために。
■■■■■
「何なの!?本当に何なの!?これぇ!?」
僕と陽向はダンジョンを走る。
床も、壁も、天井も。
最下層のボス部屋と同じように紅く光って点滅し、心臓が如く鼓動しているダンジョンの中を僕と陽向は走る。
行くときはたくさんいた魔物の数も、今では何もいないという状況になっている。明らかに異常事態だろう。
「なんで魔物いないの!?なんで紅く光るの!?なんで点滅するの!?なんで鼓動しているの!?」
「謎だよねぇ」
パニック状態に近くなっている陽向の言葉に僕は頷く。
本当に謎だ。……しかし、別に命の危険は感じない。僕の第六感が警鐘を鳴らしていない。
「まぁ、でもさっさとダンジョンの外に出ちゃえば良いんだよ」
「そうだよね!それで解決だよね!何も悩むことはないよね!」
「うん。そうだよ」
僕と陽向は走る。
「……そろそろか?」
「うん。そうだね」
僕と陽向は既に一階層にまで登ってきている。
後少しでダンジョンから出ていくことができるだろう。
「見えた」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああ!!!」
僕たがダンジョンに入ってきた入り口が見えてくる。
「やっと出れるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅううううううううううううううううううう」
ダンジョンから飛び出し、外へ出た僕と陽向。
「「……え?」」
ダンジョンの外に出た僕と陽向は共に己の体を硬直させた。
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