第24話

 最下層にいた巨大な魔物。

 片目が潰れ、残された片目を赤く光らせている角の生えた巨大な巨人。


「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 ダンジョンを侵す侵略者を迎え撃たんと地面を大きく震わせる咆哮を上げる巨人。


「魔力差別反対キックッ!」

 

 そんな巨人は一人の少年の理不尽な一つの蹴りの前に容易く敗れ去る。

 その巨体を地面へと倒し、大きいな揺れをその場に残す。


「ちょ、ちょい!?」

 

 少年の後に続くのはに愛されし少女。


「ぐぉ……?」

 

 あっさりと地面へとその体を倒した巨人は何が何だがわからず困惑の表情を浮かべている。

 

「何をしているの!?」


「いや、魔力が殆ど無い僕が入れない扉を作ったこいつに差別がいけないってことを教えこんでやろうと思って」

 

「だからと言って当たり前のかのように蹴り飛ばすのは狂っているから」

 

 魔力がないとは、の加護を受けていない脆弱な人間とはとてもじゃないが思えない圧倒的な力を持っている少年に、少女は常識を語る。


「……我は知らぬ」


 生命には理解出来ない領域にいる少年を前に考えることを辞める。

 どうせあのデカブツは終わりだ。 

 この場から一つの意思が消えた。

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