第23話

「ほい」

 

 狭いダンジョンの廊下。

 床を、壁を、天井を。

 自由自在に駆け回り、魔物を殺し尽くしていく。

 陽向が作ってくれた剣のおかげで僕は一切苦労することなく魔物を殺すことができていた。


「ちょっ……早」

 

 一度も休憩することなく進み続ける。陽向の出番なんてない。陽向はただただ僕の後を追いかけていた。

 火力ならば遥かに陽向の方が上だが、速度であれば僕の方が上だった。

 

「お?終わりかな?」

 

 最下層を突き進んでいた僕の瞳に重々しい扉が映る。


「みぃーつけた」

 

 僕は自分の口元を三日月のように割れさせ、重々しい扉へと己の足を向ける。


「カチコミだぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!?」

 

 全力で重々しい扉を蹴った僕の足に強い衝撃が走り、僕は地面へと無様に墜ちる。


「いったぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ」

 

 足に走った衝撃を前に僕は悶絶し、自分の足を抑える。


「こんな痛い!?嘘でしょ!?」

 

 扉はびっくりするくらい硬くて、僕の足に強いダメージを与えたのだった。


「こんな大きな扉を全力で叩かないでよ……」


 悶え苦しんでいる僕を見て、呆れたような言葉を漏らして見下ろしてくる陽向。


「ぐぬぬ。図ったな!?」


「何も図っていないよ!?」


「ただの冗談だよ。そんな気にしないで」


「あっ……冗談か。……これが友達同士で行われるという冗談……!適応出来るようにならねば……!」


「別にそんな気を張るようなものじゃないよ……?別に冗談が通じなかったり、冗談に見えないような冗談を言うのもそれはそれでネタになるしね。そんな気を張る必要ないよ」


「う、うん……!」


「それで?この扉どうするの?……物理的に開けるの大分無理そうなんだけど……?」


 僕はカッチンコッチンの扉を叩いて、陽向に告げる。


「あぁ……これは魔力を流すと自動的に開くような仕組みになっているんだよ」


「え?なにそれッ!……僕は完全に門前払いじゃん!?ひっど!?」

 

 魔力がほとんどない僕はどうしようもないじゃないか。こんな理不尽なことある?泣いちゃうよ?僕。


「いや……ここまで来た人が魔力を持っていないとか想定出来ないと思う……」


「それもそうか」

 

 僕は陽向の言葉を聞いて納得する。


「よし。じゃあ……開けるね」


「うん。よろしく」


 陽向が扉へと手を当て、ゆっくりと魔力を流していき……巨大な扉が開かれた。


「魔力差別反対キックッ!」

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