第22話

 ダンジョンの先へ先へと進んでいく僕と陽向。

 

「おぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!」


 僕の方へと向かって腕を伸ばしてくる1つ目の巨人の魔物、サイクロプス。


「ふー」

 

 僕は息を吐き……自分の手に握られている刀を四手、五手と振るう。

 上半身と下半身を分かたせ、煩わしく動く両腕を斬り落とし、魔力で強度を上げた首を二撃で両断する。

 

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 刀についたサイクロプスの血を振り払った後、納刀する。


「ん。ちょっと強くなってきたなぁ」

 

 ダンジョンへと飲み込まれていくサイクロプスを眺めながら僕はポツリと呟く。

 今、僕の頭の上に佐倉は居ない。

 そのため、魔力の込められた武器を作ってくれる人は居ないのだ。

 

 魔力に対抗出来るのは魔力のみ。

 ほんの少しの魔力しか使うことの出来ない僕はサイクロプスのように魔力を使ってくるような魔物と接敵した際、苦戦することになるだろう。

 現にサイクロプスの首を一太刀で両断することが出来なかった。


 今、ダンジョン階層は最下層まで4分の3進んだところ。

 これからも強くなってくるだろうし、最下層には以前このダンジョンを踏破しようとした一流の冒険者パーティーを壊滅させたボスがいる。

 このまま下り続けるのは大変だろう。


「魔力ないのキツイなぁ……」

 

 切実な僕の呟き。


「あっ」

 

 それに少し離れたところで魔物の群れを全滅させた陽向が反応する。


「私のスキルで魔力のこもった聖なる武器を貸与させることが出来るんだけど、いる?」


「え?そんなスキルあるの?」


 僕の驚愕の言葉。

 

「うん。あるよ」

 

 それに陽向が純粋無垢な瞳を向けながら頷く。


「……最初から言ってよ。欲しいな」


「あぁ!?ごめん!そ、そうだよね!うん。魔力がないんだから必要に決まっているよね!?ど、どうぞ!」


 陽向が何故か焦ったように僕にキラキラと光る剣を渡してくる。


「んっ」

 

 僕は渡された剣を二、三度振るう。


「うん。問題ないかな」 

 

 刀でないのが不満だけど……魔力のこもっている武器の方が断然良い。


「よし。これで何も問題。先に進んでいこうか」


「はい!」

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